お取り寄せからみたニッポン

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第15回
岐阜県・暑い季節に涼しげな岐阜うちわ

透明感のある水うちわが人気に

岐阜うちわには、漆を塗って仕上げる「塗りうちわ」、柿渋を塗った「渋うちわ」、「水うちわ」などの種類がある。中でも、名前からして涼しそうなのが水うちわ。これが、節電が叫ばれた昨年の夏、たいへんな人気となった。美濃和紙製品を扱う会社でも、販売しているところがあるが、一番人気は、やはり伝統的な手法で手作りする、住井冨次郎商店の製品だ。

住井冨次郎商店の水うちわは、マダケの骨に極めて薄い雁皮紙(がんぴし)を貼り、天然由来のニスでコーティングしたもの。絵柄は金魚や朝顔などオーソドックスな和風の柄が主流。ニスが和紙に染みて透明感がでる。竹の骨や向こう側が透けてみえるほど。これが美しい。

ちょっとした耐水性もあるため、水をつけてあおいだから水うちわ、という説もあるそうだが、プラスチックやビニールのような感覚で浸すと、ニスが濁り和紙も崩れ、せっかくの伝統工芸品がダメになってしまうので、涼しげな透明感で涼をとる、と思って大切に使いたい。

竹の骨は、以前は四国の丸亀の職人から仕入れていたが、職人がやめるということで、出向いて作り方を習い、今は冬場に当主自らが作っている。一方、雁皮紙も、製造が減り、一時期入手困難となった。先代が買い置きしていた在庫がなくなったあとは、しばらく作ることができなくなっていたそうだが、数年前にやっと復活。

住井冨次郎商店の水うちわは、手作りのため量産できないが、欲しい人にはネットでの販売も行っている。とはいえ、やはりそこは長良川。夏休みにでも、夏の鵜飼を楽しみながら、川べりの散策ついでに、涼しげなうちわを買いに立ち寄ってみたい。

●住井冨次郎商店
http://www.ccn.aitai.ne.jp/~gf-utiwa/index.html


●家田紙工株式会社
美濃手漉き和紙関連製品を扱うメーカーの水うちわ。
購入できる店舗一覧がある
http://www.iedashikou.com/utiwa.html


美の紙工房の水うちわの販売ページ

●美の紙工房 ネットショップ
家田紙工製の水うちわなどが購入できる。
http://www.molza.co.jp/direct/


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