お取り寄せからみたニッポン

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第16回
滋賀県・お米から作られる和ろうそく

グッドデザイン賞受賞の新製品

お盆で実家に帰る際、お土産にろうそくを持っていこうと思った。普通のろうそくは、100円ショップにもコンビニにも置いてあるが、どうせなら、櫨(ハゼ)の実から作った伝統的な和ろうそくにしようと、あれこれを探しているうち、不思議なものを発見した。
「お米のろうそく」だという。
以前、福島の「会津絵ろうそく」を紹介したが、こちらは、滋賀県の「近江和蝋燭」の老舗の新製品。2011年のグッドデザイン賞まで受賞している。お米からろうそくができるとは知らなかったので興味を持った。

伝統的な和ろうそくの産地としては、愛知県、京都府、滋賀県、福井県、石川県などが知られている。日本では、奈良時代に中国から密ろうそくが入ってきたと考えられている。開祖が聖徳太子と伝えられる奈良の大安寺の記録には、722年元正天皇から賜った「蝋燭40斥8両」の記載があるそうだ。平安時代になって、松脂を使ったろうそくの製造が始まり、その後、櫨や漆のろうそくが作られるようになって、それが広まったのは江戸時代。夜間の明かりとしてちょうちんに入れられるなど、高級品ではあったが、庶民にも使われるようになった。しかし、明治以降は、西洋ろうそくに押され、製造業者は減ってしまった。

滋賀県の伝統的工芸品一覧表をみると、この伝統的な和ろうそくで登録されている製造業者は3軒。彦根市で和ろうそくを製造する蝋喜商店の古川五郎さんに関する記事には、江戸時代には彦根で和蝋燭作りを営むのは53軒もあったそうだが、現在継承しているのは、四代目の古川五郎さんただ一人とあった。彦根は彦根城の城下町。そこで作られるろうそくは「彦根ろうそく」と呼ばれ、将軍への献上品になっていたという。彦根城の城下町の町並みを再現した「夢京橋キャッスルロード」の中の「夢京橋あかり館」などで古川さんのろうそくを購入することができる。

一方、さきほど見つけた「お米のろうそく」を作っているのは、高島市の大與(だいよ)。こちらも大正3年創業で、昭和59年に滋賀県の伝統工芸品に指定された老舗。2010年には大本山永平寺御用達にも認定され、現在、三代目・四代目が和ろうそく作りを行っている。

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