お取り寄せからみたニッポン

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第18回
富山県・仏像からフィギュアまで作る高岡銅器

地域全体で取り組むものづくり

高岡銅器の特徴は、製品の多様性と、繊細な細工から豪華な装飾や彩色まで幅広い技術を持つ、総合的なクオリティの高さがあげられる。
こうした伝統工芸品では、ひとりの作家がほとんどの工程を手がけることが多いのだが、高岡銅器は、工程が細かく分業化されている。その総体として高いクオリティを維持していることが最大の特徴だ。
高岡銅器は、砂でできた鋳型に溶かした銅を流し込み、その型を外して研磨・着色・彫金(彫刻や象眼)などの加工を施したあと、最終的な仕上げを行う。この工程は多岐に渡り、施される装飾や加工によって、用いられる技術や職人の腕前も異なる。作られる製品も、小さな文具から花瓶や茶器、梵鐘、家具、銅像、はては前述したような巨大な大仏に至るまで、非常に多彩だ。こうしたさまざまな工程をコントロールしていたのが銅器の問屋だという。
高岡の銅器問屋は、今の総合商社のように、原料の調達から最適な技術を持つ工場に対する加工委託を行ない、販売やマーケティング、売れ筋商品のデザインにまで広く関わり、職人と一体となって産業を盛り立てていたのである。ただし残念なことに、戦後はアメリカ輸出業者に押されて弱体化してしまった。現在は、そうしたプロデューサー的人材を社内に持つメーカーが増えているようだ。バブル崩壊後は販売額の減少や職人の高齢化が課題となったが、そうしたメーカーを中心に、官民一体となって若手育成に力を入れ、伝統技術の継承に尽力している。
こうした動きから、産官が連携して開発した新ブランド「HiHill」プロジェクトは、2004年にグッドデザイン賞特別賞を受賞。新たな若手職人も育ち始めている。
また、試みとしておもしろいのが、異素材を含めた総合的なオーダーメード製品作り。たとえば、ものづくりのプロ集団と名乗るMJD株式会社では、銅に限らず各種樹脂やガラス、クリスタルといったさまざまな素材とのコラボレーションや、製品化の相談にも対応。

同社は、ゴジラやキングギドラといった人気キャラクターの金属製フィギュアの製造販売も行っている。ホームページには参考商品として、ウルトラマンや筋肉マン、ムーミンなども並べられている。

さらに最近では、若手経営者たちによる、高岡のまちづくりや町おこしの視点を含めた新しい動きも始まっている。高岡大仏を高岡銅器の象徴として、その周辺に若手銅器職人が作品を展示できる場を設けられないかといった構想を、練っているのだという。
地域全体で継承し発展させてきた高岡銅器。この伝統技術を活かして新しい地域活性に挑戦する若者たちの姿は、国や幕府ではなく、民間の職人が結集して作り上げた高岡大仏が、きっと見守ってくれるだろう。

●高岡市デザイン・工芸センター
http://www.suncenter.co.jp/takaoka/

●高岡銅器団地協同組合
http://www.surugaya.com/index.html

●高岡銅器展示館
http://www.takaoka-douki.jp/

●MJD
http://www.mjd.cc/
MJDのフィギュアのページ
http://mjd.cc/figure/

●大寺幸八郎商店
http://www.ootera.com/

●織田幸銅器
http://www.odakou-douki.co.jp

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