『ものづくり』からできること

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第1回
正しいモノづくりを考える

モノが売れない時代といわれています。
かくいう私も、最近はあまり買い物をしていません。
それはなぜなのか。モノ作りに携わっている僕の目線で考えていきたいと思います。

みなさん、生きるために必要なモノであれば、ちゅうちょなく購入しますよね。特に口に入れるモノなんかは、新鮮で安全、かつできるだけ安価なものを選びます。
しかし、消耗品はいずれ消えて無くなってしまいますから、消耗品や実用品を買うだけで心が満たされる人は多くないでしょう。

生きるために必要ではないが、「気に入ったモノ」を所有したい願望もありませんか。
それらが増えていくことを実感し、身の傍らに置いておくだけで幸せを感じる人も少なくないと思います。洋服や趣味のモノなどがそうですね。それらを買う時は、なるべく妥協しないでしょう。なぜならそれらは、心を豊かにしてくれるモノだから。

実用品というのは、目的を果たせばそれで良いのかもしれません。でも、できればデザインが美しく、面白いモノの方がいいと思いませんか。そういう意味では、この世の中、まだまだ未開拓な商品が山ほどあると思うのです。
しかし最近は、低価格競争のあおりで、必要以上にコストダウンして商品化されているモノが目につきます。コストを削った所が一番魅力的な部分かもしれないのに。

例えば、洗濯機は一家に一台はあると思います。それを壊れるまで使い、壊れたら買い換え…というのが今の日本における「モノ」と「カネ」の循環だと思いますが、それではダメだと思うのです。消費者にとって低価格な商品は魅力的に映るかもしれませんが、しかし家に洗濯機があれば「今はいりません」で終わってしまいます。既存の洗濯機が寿命を迎えなければ、次の洗濯機を買うことはないでしょう。

そうではなく、実用品の世界においても、必要のない人まで思わず衝動買いしてしまうような、あるいは一年間くらい貯金し続けてまで「買いたい!」と思ってもらえるような魅力的なモノを作るべきだと思うのです。

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