『ものづくり』からできること

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第5回
幸福へのモノの視点

工業製品で話を進めます。
モノには3つの性格(目的)があって生まれてくると私は考えています。

1.実用的に使用する目的
2.触れて、眺めて楽しむ目的(所有する楽しみ)
3.道具であり、かつ趣味的思考をもつもの(=1+2)

ここで、皆さんは以上3つのうちでどれが一番、幸福感をもたらしてくれると思いますか?
答えは、3です。次いで2です。ただし、場合によっては3と2は逆転します。
(※「モノ」というSolid =“固体”そのものから得られる幸福感です。)

では、1はなぜ幸福感が薄いのでしょうか?
その答えは簡単です。作り手がそのもの自体に幸福感を持たせようとしていないからです。
その道具を使って幸福を味わう。要するに1は「目的を果たし、幸福を手に入れる」ための道具でしかないのです。
1は、「手段」ともいえるでしょう。
実はこの1のようなモノが、現代社会の中心的商品になっているような気がしてなりません。「手段」を買って、「幸福」を手に入れる。「モバイルフォン」がわかりやすい例えじゃないでしょうか。
その「手段(商品)」も、次期モデルまでの寿命が非常に短くなりました。それも、規格が替わってしまえば、そのシリーズのみならずサービスごと消滅してしまうことも少なくないのです。似たような例では、記録媒体。ころころ替わるので、この先不安を感じているのは私だけでしょうか。

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