『ものづくり』からできること

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第9回
「タイトルとキャプション」

私たちのモノづくりにおいても商品説明をどこまでするのかは、迷うところです。工業製品のその多くは「道具」です。使い方の説明は必須ですが、商品の価値である「特長」をどこまで紹介すればよいものなのか。紹介する項目が多ければ多いほど良いというものではありません。項目が多くなるとひとつひとつが軽い印象(低価値)になってしまい、商品のもつ本当の「売り」がボケてしまいます。
そう考えると絵画に付いているキャプションもあの小ささに納得できます。

使用者(消費者)に「発見する喜び」を残しておくことも大事なことかもしれません。消費者に喜びを与える商品づくりは「すべての可視化で終わる単純なものではない」ように思います。情報のすべてを与えるとその時点でつまらないものになりかねない。逆に「発見する喜び」を余地として残すことは、ポテンシャルを秘めた商品とも言えるのです。

タイトルとキャプションの付け方で、想像以上に大きな差となって結果に現れます。
商品タイトルはジャンルの案内にもなりますが、キャッチフレーズの要素をもたせることで消費者へのアピールにも繋がります。「タイトル」によってその商品への期待度がさらにアップします。このように工業製品などの場合は、絵画と違って必須の項目です。
また、「キャプション」にあたる「商品特長の解説」は他社商品との差別化、新しい機能など既存商品との違いを説明します。
どちらも商品本体をより魅力あるものへと装飾するツールと思えば良いでしょう。

商品(製品本体)のデザインも然る事ながら「タイトル」、「キャプション」もあらためて重要である事をお解かりいただけたと思います。

もちろん、絵画や写真鑑賞のときは、その作品におけるメッセージの意図を汲み取ってみるのも忘れずに。・・・「表題なし」は作家の戦略ですからね。

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