『ものづくり』からできること

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第10回
「青い空と白い雲」に学ぶ

さて、店で買った「モノ」を持ち帰り、家で眺めてみると何処となく店で見たときの印象と違っていたという経験はありませんか?それは商品を手で持つなり、棚に置くなりしたときに環境の違いで「モノ」の見え方が変わるからです。店では照明効果などの演出があり、余裕ある空間での展示であれば尚更、その差が出ます。もし、その商品が装飾品であれば、展示されていたときのような環境で設置するのが良い方法です。しかし、一般の家庭での照明や設置場所から考えるとなかなか同じようにはいかないのが現状ですね。

そこで、「モノ」の存在価値を上げる秘訣をお教えします。
1. 主体の周りに他のものを置かない。
2. 「モノ」の背景(壁など)は一色であること。また、「モノ」の色と背景色がかぶらないこと。
3. 「モノ」の設置場所は明るい環境であること。
以上3つの条件を満たせば良いわけです。

これを見ると、皆さんは当たり前のように思われるかもしれません。しかし、実践となると難しいことに気が付くはずです。それは、何故でしょう?

今は昔と違い「モノ」に恵まれた時代です。部屋の中、所狭しに「モノ」が氾濫している状況です。「モノ」の役割がそれぞれあって、とても便利な機能を備えた道具、また道具とは違う価値をもつ装飾品も混在します。こういった環境では、互いのデザイン性を潰し合う結果となってしまうのです。「モノ」に恵まれた代償はとても大きいのです。

そこで最近、よく耳にする「断舎利」。
整理された環境は、「モノ」の本質(価値)を発見できるように思いますのでお勧めします。「モノ」の生命ともいえるデザインやこだわりが事細かく活かされます。そう考えると、世界的規模で「モノ」がまだ無かった頃のほうが、「モノ」において「幸せを感じられた環境」であったのかもしれません。
私たちモノづくりに携わる者にとって「矛盾な結果を生み出している」今日です。私たちはこれからの時代、大きな課題を背負って歩まなければなりません。再び、大海原で泳ぐ大クジラを夢見て・・・。

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