私が見つけたライフワーク(2)

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第7回
異国から移住してきた山野草たち

帰化植物は往々にして大繁殖するので、嫌われる傾向にあります。セイタカアワダチソウなどは、嫌われる植物の代表格で、最盛期にはあまりにも繁殖力が強いので、日本の雑草の主役であったススキさえも完全に圧倒してしまい、他の植物をすべて駆逐してしまう「悪の権化」のごとく扱われていた時期もありました。

しかし、最近はそれほど多く見かけません。群生しているのは、郊外の新しい空き地や、新設の法面(山を切り開いたり盛土によってできた人工的な傾斜面)です。新しい空間ではまだ強さを発揮できているようですが、そうでない場所では普通の雑草程度におとなしくなってしまいました。暴れん坊の草でも、増え続けるのは無理なようです。
最近では、セイタカアワダチソウより、花粉症の原因植物としてブタクサの方が嫌われ者になっているようです。

セイタカアワダチソウの群生
近くでみればきれいなのですが…

嫌われ者が多い帰化植物ですが、中にはいっぱい繁殖しても好かれている幸せな植物もいます。例えば、ムラサキハナナです。聞いたことも見たこともないと思われるかもしれませんが、ハナダイコンといえば分かると思います。名前は知らなくても、写真をみれば見たことがあるでしょう。それほど前から広がっていたわけではなく、戦後に増えたそうです。
そういえば1980年ごろ、母がきれいな花だからと近所の家から分けてもらって来ていた記憶があります。この花が近隣の土手やがけで見られるようになったのは、これより後だと思います。少なくともその辺では、子供のころは見たことがない花でした。

ムラサキハナナの群生。遠くからでも美しく見えます

今では春になると、菜の花などと同じような場所で藤紫色のかわいい花をいっぱい咲かせています。
もともと観賞用として中国から持ち込まれたようで、その辺の雑草と比べるとかなりの美形です。その割に繁殖力は旺盛ですぐ増えてしまいますが、邪魔に扱われることもなく、庭で楽しむ家もあるほどです。

ムラサキハナナ。一つ一つの花も色鮮やかです

ところで、この花はムラサキハナナまたはハナダイコンといいますが、実は他にも名前があります。ひとつはオオアラセイトウ、もうひとつはショカツサイという名前です。
以下に、それぞれの名前の由来を記してみましょう。

・ムラサキハナナ…漢字では「紫花菜」。菜の花の紫版だからか?
・ハナダイコン…ダイコンの花に似ているから。
・オオアラセイトウ…ストック原種(日本名はアラセイトウ)に似ていて大型だから。
・ショカツサイ…もともと中国では諸葛菜と書いていたのを日本読みにしたもの。

日本の山野草でも別名を持つ花はありますが、一般に普及している別名はせいぜい1つくらいです。しかし、この花は別名が3つもあります。それは、ムラサキハナナが日本に帰化したのが比較的最近であることを物語っていると思います。
今後、その辺の山野草として生き残れるかどうかは分かりませんが、生き残れた時に残っている名前はどれなのでしょうか?興味がありますね。

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