私が見つけたライフワーク(2)

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第16回
草木にも「めでたい」ものがあります

日本のお正月は「おめでとう」から始まります。つまり、新年は「明けましておめでとうございます」という挨拶をします。これが海外だと、英語圏では「ハッピーニューイャー」、中国では「新年好」、アラブの国々では「あなたは毎年元気でありますように」と言うそうです。どこの国でも自他の幸せや健康などを願いますが、日本の場合はまず「めでたい」のです。

「目出度い」と書くのは当て字で、「メデ(愛)イタシ(甚)」が語源とされています。つまり、好み愛したい感じとか、すばらしいというような意味のようです。それが「喜び祝うに値するさま」という意味になり、新年を祝う言葉にもなっていったのです。

めでたいことが好きだった日本人は、植物にもめでたさを求めました。
日本にはめでたい植物が数多くありますが、まず代表的なものは松でしょう。今では少なくなりましたが、お正月には門松などの松飾りを飾ります。
松と新年の関係は古く、平安時代までさかのぼります。日本では、昔から緑色に信仰のような感覚があったようで、中でも松は一年中緑が映え、木肌のひび割れがいかにも長命の証しのように見えるからか、長寿のシンボルとみなされていたようです。
平安時代の貴族の風習として「子(ね)の日の小松引き」というものがありました。正月、最初の子(ね)の日に郊外へ出かけて、小さい松を根ごと引き抜いて持ち帰り、長寿を願ったそうです。

松の葉とまだ青い果実

江戸時代になると、武家や商家などまで正月に門松などを飾る風習が広がりました。松飾りは、関東では普通「松の内」つまり1月7日まで飾り、8日には取り外します。この松の内、調べてみると意外な理由がありました。

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