ライターHの“デジモノ”放談

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第6回
スマートフォンへ乗り換える前に考えるべきこと

最近、シニアの方から「スマートフォンに乗り換えた方が良いでしょうか?」という質問を頂戴するようになった。テレビや新聞、雑誌、インターネット上で、頻繁に見聞きするようになったスマートフォン。携帯電話の各キャリアも、国内ではソフトバンクモバイルから発売しているiPhone(アイフォン)に対抗して、NTTドコモやauからもAndroid(アンドロイド)というOSを搭載したスマートフォンを積極的に投入している。

その結果、国内の携帯電話販売台数は、スマートフォンがフューチャーフォン(従来の携帯電話のこと)を上回るまでに急拡大した。一気に押し寄せたスマートフォン人気が若い世代だけでなく、今まさにシニア層にも広がりつつある。

さて、現状を確認した上で冒頭の質問、「スマートフォンに乗り換えた方が良いでしょうか?」に戻りたい。このように尋ねられたとき、筆者は質問者に対して「今まで、どのように携帯電話を使ってきましたか?」と尋ねるようにしている。なぜなら、従来の携帯電話とスマートフォンでは、主たる使い道が違うからだ。

電話としてスマートフォンを選ぶのは間違い

従来の携帯電話とスマートフォンでは、何が違うのか? 筆者なりのイメージで表現するなら、従来の携帯電話は“メールができる電話”。一方、スマートフォンは“電話ができるパソコン”である。国内で進化を続けてきた従来の携帯電話は確かに多機能だが、言ってみれば携帯電話に独自の規格でメールやインターネットなどの機能を追加していったものに過ぎない。

対するスマートフォンは、液晶ディスプレイが大きく、パソコンと同じホームページやオンラインサービスが扱えるようになっている。利用できるアプリケーションも、パソコンでいうフリーソフトのように種類が多く、USB経由でパソコンから音楽や写真などのデータを取り込む操作も簡便だ。

実際、スマートフォンは、電話として使うよりもパソコン代わりにメールをチェックしたり、ホームページを見て情報を収集する……といった用途に向いている。そのため、「携帯電話は、電話とメールしか使っていません……」という方、つまりスマートフォンを電話として使おうと思っている方には「無理して乗り換える必要はありませんよ」とアドバイスしているのだ。

現実的なことを言えば、スマートフォンに乗り換えると月額の利用料金が変わってくる。ホームページなどを閲覧する際に、大量のデータ通信を行うためだ。スマートフォン向けのパケット定額サービスを利用しても、毎月4000円台から6000円弱のパケット代を支払うことになる。

どのくらい利用料金に違いがあるのか。筆者の例を紹介しよう。ボクは、今年3月にNTTドコモで契約している携帯電話を、FOMAの携帯電話からAndroidのスマートフォンに変更した。FOMAは、メインで使っているiPhoneのサブ機という扱いで持ち歩いていたため、毎月の利用料金は4000円ほどで済んでいた。しかし、Androidのスマートフォンに乗り換えてからは、ホームページを見たり、アプリケーションをダウンロード(アップデート)することが多くなり、パケット定額サービス「パケ・ホーダイダブル2」の上限額である5980円に到達。有料サービスなどを合わせた月額料金は、7000円台後半とほぼ倍増した。

データ通信を無効にすれば月額料金は従来並に下げられるのだが、それではスマートフォンを利用する意味がない。屋外にいても、Yahoo! Japanでニュースをチェックしたり、ホームページを検索したり、Googleマップで現在地を確認できるからこそ、スマートフォンの特徴が生かせるのだ。自宅のパソコンでしかインターネットをしないという方なら、スマートフォンを選ぶ必要は全くない。無駄に高いパケット代を支払うだけになる。

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