第2回
家計簿はいらない?
2013.02.12 [山田 英次]
家計の予算案を作る
ここまでの話で、誤解を招いてしまったかもしれませんが、僕は家計簿を憎んでいるわけではありませんし、嫌っているわけでもありません。
ただ、ここではっきり皆さんにお伝えしておきたいことがあります。
それは、「家計簿をつけること」「記録を付けること」自体が目的ではないということです。
大切なのは、目の前にある「家計簿」や「記録」をどう活用するかです。
もちろん、過去の買い物リストを見ながら、自らの賢い買い物術に満足し、感慨にふけるのは自由ですが、それで家計は改善しません。家計簿をつけてきた1年間の行動は、単なる趣味であったということになってしまいます。
では、これからの皆さんの家計を改善していくためにはどうすればよいのでしょうか?
その答えは、シンプルに表すことができます。
「予算案を作る」とは、支出項目ごとにあらかじめ額を定めることを意味します。家計簿は、あくまで過去の記録にすぎませんから、長時間凝視していても、過去を思いだすだけで、未来の家計は変わりません。
未来の家計を変えるためには、未来の支出をコントロールすることが、最も簡単で手っ取り早く効果を実感できます。
頑張ってつけた家計簿は、予算案を作るための参考資料となり、皆さんの未来を変えてくれる材料になるわけです。
従って、もし「予算案を作るため」という目的で家計簿をつけるのであれば、その期間はせいぜい3カ月程度で十分です。3カ月分程度の家計簿があれば、容易に自分の平均的な支出リズムを把握し、その妥当性を検証することができるはずですから。
もちろん、家計簿をつける作業自体が、緩衝剤のプチプチをつぶすのと同じように「なんだか楽しい」というのであれば、継続して家計簿をつけて頂いても結構なのですが、いずれにしても「予算案を作る」という作業は、必須のものと考えてください。
予算案における各項目の金額は、皆さんそれぞれ環境が異なりますので、基準となる数字は存在しませんが、参考までに全国平均値をご紹介します(あくまで平均値ですから、参考としてご覧ください)。
※総務省「家計調査報告(家計収支編)―平成23年平均速報結果の概況―
2人以上の世帯のうち勤労世帯の1か月の平均(平均世帯人数:3.19人)
最後に、家計簿をもとに予算案を作るときのポイントを一つお伝えしておきたいと思います。
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