賢者の家計改善術

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第4回
もしもインフレが始まったら

■初任給で考える物価上昇

皆さんは、自分が初めて給料をもらったときの金額を覚えていますか?
ここしばらくは不景気が続いていたので、日本の4大卒の初任給の水準は21世紀に入ってからほぼ上がっていません。おおよそ20万円前後で推移しています。
でも、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、昔は違いました。バブルがはじける前までは、新卒初任給もバンバン上がっていたのです。
これは、裏を返すと昔の初任給は(絶対金額では)少なかったということになりますが、私が生まれた1970年前後、今から約40年前のその水準は4万円程度でした(このころはアパートを借りるにしても1万円程度で十分足りました)。
ここで、1970年代に大学を卒業して定年退職を迎えた団塊の世代の方々の給与上昇を考えてみましょう。
彼らは現在、50代後半から60代半ばになっていますが、その定年退職前の平均給与は595万円(※)となっています。この金額を12カ月で割った月収は、おおよそ50万円ということになります。
(※)民間給与実態統計調査(国税庁)
つまり、初任給4万円だった人たちが、50代後半になってもらっている給料が50万円になったということですから、その倍率は12倍以上だということになります。
この倍率を今の時代にあてはめると、こうなります。
「初任給20万円程度の企業に就職したAさんが50代後半になるころには、月収250万円、年収では3000万円程度になっている」
いかがでしょうか。にわかには信じられない金額だと思いませんか?
現在、50代後半の普通に働いている平均的な社員の給与が年収3000万円程度の企業があったら、応募が殺到するのではないでしょうか。
でも、2013年となった今、そのような会社が存在しないことは誰でも知っています。

■21世紀の資産管理術

いつの時代も皆、自分や自分の家族のために頑張っていることは確かだと思いますが、時代によって皆さんを取り巻く環境は全く異なっていることも事実だと思います。
従いまして、これからの人生を考える際には、現在とこれからの経済環境を踏まえてプランを考える必要があります。
悪い意味ではありませんが、皆さんと皆さんの親の世代では経済環境が全くと言っていいほど異なるわけですから、同じことをやってもうまくいかないことが多いのは当たり前なのです。
21世紀を生きていく皆さんには、皆さんにあったやり方を考え、ノウハウを身につけて、お金と上手に付き合っていかなければなりません。親のやり方(家の買い方、教育費の貯め方、老後資金の準備方法など)を見よう見まねでやっても、それが時代遅れのものとなっている可能性があることを踏まえて、今後の家計戦略を考える必要があるのです。
これからは感情ではなく数字で、つまり皆さんの国語力ではなく算数力を使って考えることが求められます。
引き続き、次回以降のコラムで、経済的ゆとりを保ちながら、楽しい人生を送るためのエッセンスをお伝えしていきたいと思います。

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