フロム・ナウ的失敗しないマンション選び

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第6回
日本のマンションは強かった

震災から3カ月以上が経ちました。私は震災から2カ月後に被災地を回って取材する機会がありました。現地は道路・橋などが整備されつつあるものの、まだまだ瓦礫はそのままで、津波の爪痕が大きく残ったままでした。仮設住宅を建てるための用地確保もままならず、いまだに避難生活を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。みなさんが口を揃えて言うことは、早く家族で暮らす住宅が欲しいということでした。図らずも、住宅というものがいかに人に安静を与えているかを思い知ることとなったのです。

被災地では回復に程遠い状況ですが、日本全体を見れば、徐々に元の生産活動に戻りつつあります。マンション市場においても、震災後、マンションの販売は完全なフリーズ状態でしたが、ゴールデンウイーク辺りから、再開されてきました。

コラムの開始時には、震災を受けて、私なりの予測をお話しました。その後、震災から時間が経ち、色々なことが明らかになり、各種データなども出てきました。そこで今回は、さまざまな検証結果と、震災後のマンション購入に関して、みなさんに知っておいていただきたい状況変化をお話したいと思います。

≪地震の爪痕≫

高層住宅管理業協会が、東日本大震災発生後、東北6県で会員会社が管理するマンションの被害調査を行いました。

全1642棟(全マンションの90%)のうち、建物の全壊や倒壊、あるいは「大破」と判定されたものはゼロでした。建物躯体の補強、補修が必要な「中破」が26棟(1.6%)、構造耐力に支障はなくとも一定の補修工事が必要な「小破」は283棟(17.2%)、外見上ほとんど損傷がない「軽微」が1024棟(62.4%)、被害なしが309棟(18.8%)という結果でした。これらの結果をみると、日本のマンションは、地震への耐力が高いということが改めて証明されました。また、マンションの耐震基準(旧耐震・新耐震※第1回第2回参照)によって、被害の差は、若干出たものの、全体としてマンションの被害は少なかったと結論づけてもよさそうです。ただし、今後はより新しく地震などに強い建物へシフトが進むことは、トレンドとして固まってくるでしょう。

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