フロム・ナウ流 有料老人ホームガイド

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第9回
株式会社LIXIL シニアライフカンパニー 社長が現場に腰を据えて取り組むホーム

『プランダムール』での佐藤社長も交えての研修風景

人に学び、感動することからはじめる

では佐藤社長は、閉塞的な「負のスパイラル」に陥ったホームをどう変えたのでしょうか?

「何よりも変わったのは、スタッフの精神です。人がよくなければ、どんなにハードを整えても意味がありません」(同)
とのことですが、精神的なことは、文章ではなかなか伝えられないので困ります。

昨秋の取材では、「うちのホームはこれから、アクティビティ、リハビリ、ターミナルケアの3本柱に力を注ぎます」と話していたので、進捗状況を尋ねてみました。

「3本柱のうち、アクティビティに関しては自信を持ってアナウンスできるレベルになりました。でもほかはまだです。
とりわけターミナルケアは、一朝一夕にはできません。経験を積まなければ…。今は学習の段階です。

まずは全員、福岡県の大宰府にある『アクラス五条』と『プランダムール』(※)を見学させていただき、精神を五感で学べと言っています。これらは、私が出会った介護業界関係者の中でも唯一尊敬できる人物・吉松泰子さんがつくった施設です。

加えて、亡くなる方とその家族の気持ちが表現されている『だいじょうぶだよ、ゾウさん』という絵本を読ませて、感想文を書かせています。絵本ですが、感動して涙ぐむスタッフもいます。
そこからがスタートです。
あとは、ターミナルケアについて書かれた文献はネットなどでいくらでも調べられますから、自分で学習せよと。

その上で、フェリオの施設は4つありますが、環境はみんな違いますからね。
各施設のなかで、自分たちのターミナルケア、看取りマニュアルをつくりなさいと指示して、今4冊出来ていますよ。」(同)

ちなみに『アクラス五条』は某雑誌の調査において、3回連続、福岡県の有料老人ホームベスト1に輝いたホームです。

「元看護師の吉松泰子さんが運営しているホスピス『プランダムール』では、最高のターミナルケアがされていると思います。平均入所期間は、半年から1年。普通の自宅のようなリビングがあって、カウンターバーには会話を楽しむためにいつも入居者が集っています。その横に置かれたベッドには、酸素吸入をしている方も寝ています。そして旅立ちの時が近づくと、誰彼となく入居者がお互いに声を掛け合う。すると車椅子の方もみんなその場に自然と集まってきます。普通はありえないですよね。死に対しては誰でも恐怖心がありますから。でもそこは違う。みんなで手を握ったり摩ったりし、○○さんお疲れ様。いい人生だったねなんて言いながら見送ります。そこにはもはや死に対する恐怖心よりも、その方の人生についての充実感や旅立つに際しての安堵感さえ見えてくるように感じます。」(同)

佐藤社長が経験した感動がストレートに伝わってきました。
さらに、この1年でスタッフにどんな変化が求められたのかも見えてくるような気がしました。

読者はどう感じたでしょう。
「トップは現場を知らなきゃだめ。私は、介護業界の社長の中で自分が一番知っていると自負しています」
と胸を張る佐藤社長がプロデュースする施設について、もっと知りたいと思いませんか?

次回は『フェリオ成城』の現場レポートをする予定です。ご期待ください。

株式会社LIXILシニアライフカンパニーのホームページ
http://www.jsgsl.co.jp/

※『アクラス五条』と『プランダムール』
http://www.aclass5.jp/info.html

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