第28回
関節リウマチ。車イスが必要になる疾患の代表から、完全寛解となる病気にパラダイムシフト
2012.10.16 [「病気・病院・医者」]
かつては「治療しがいのない」病気だった
膠原(こうげん)病は、本来細菌などの外敵に攻撃を仕掛ける免疫機構が、自らのからだを攻撃し、関節や筋肉、内臓などに症状を引き起こす自己免疫疾患である。
関節リウマチ(以下、リウマチと略)はその代表格で、日本国内に約100万人の患者がいると推定されるが、それ以外にも膠原病には、全身の臓器に炎症を引き起こす全身性エリテマトーデス、筋力低下や皮膚の炎症が特徴の皮膚筋炎などさまざまな疾患がある。その多くは国の特定疾患に指定され、早期診断や治療が難しいといわれてきた。
「かつてリウマチは松葉づえや車椅子が必要になる疾患の代表格でしたからね、診たがる医師も少なかったんですよ。治療しがいがなくて人気がありませんでした」
そう語るのは、東京医科歯科大学医学部附属病院の院長であり、膠原病・リウマチ内科で診療する宮坂信之医師。
「東京医科歯科大学医学部附属病院は、膠原病・リウマチ性疾患の患者さんにとって“最後の砦(とりで)”だと思っています」
という言葉のとおり、同病院は伝統的に、ほかの病院ではどうしようもなかった重症患者を受け入れ、治療してきた。
膠原病・リウマチ性疾患の診断と治療、さらには最先端の新薬の研究で、つねに日本の医学界をリードしている存在なのである。
2012年4月には、
「膠原病・リウマチ性疾患の治療は、単科ではなく、横串を刺して、トータルケアで行われなくてはなりません。いろんな科がかかわる必要があるのです」
という宮坂医師のポリシーのもと、膠原病・リウマチ先端治療センターを新設。
膠原病・リウマチ内科を中心に、整形外科、理学療法部などが一体となって、リウマチを始めとする膠原病の患者に対して、先端的な治療、個々の患者のニーズに合った治療の提供を開始した。
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