内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第9回
年始回りの習慣を継承する

2014年最初の投稿なのでお正月に関する話題を取り上げてみたい。前回はおせち料理について述べたが、今回は筆者が毎年開催している「おせち会」を題材に、年始回りの習慣について考える。

読者の皆さん、あけましておめでとうございます。といってもこの投稿が掲載される頃にはお正月気分はすっかり抜けていることだろう。さて、皆さんは今年のお正月に年始回りをしただろうか。
一説によると年始回りは奈良時代から行われているもので、平安時代には貴族や公家にもその風習が広まって臣下が中宮に参内する宮中行事となり、それがさらに武士の間に普及していったといわれている。一般民衆にこの習慣が広まった当初は、年の始めに本家と分家の人々が年に一度揃って顔を合わせる行事として定着し、そこから親戚や仲人など近しい関係の人の家を訪ねて挨拶を交わし祝い合うものとなっていった。そして、社会活動の多様化や人間関係の変化によって、会社の上司や恩師、先輩、友人へと広がっていったといわれている。また、遠方に住む人など年始回りに訪問できない人に対する文書による年始あいさつとして年賀状が生まれたという。
ちなみに、年始回りは元旦を避けて、2日以降7日までの松の内と呼ばれる時期にする、そして時間帯については午前中を避け昼間の明るいうちにするのが良いとされる。
さて一方で、核家族化の進行、人口の都市集中による地域コミュニティの希薄化、住宅事情などの理由から昨今では年始回りをする人が少なくなっている。特に東京のような大都市圏では、上司や恩師が近隣に住んでいるとは限らないため、儀礼的な年始回りの習慣は薄れてきているといえる。年末年始休暇を使って海外旅行をする人が増えていることも年始回りが減っている要因かもしれない。実際に筆者も、サラリーマン時代を含めて年始回りをしたことは一度もなかった。最近の若者は、お正月休みの間ずっと家にいて、普段と同じようにコンビニ食を食べ、テレビを見たり、ゲームをしたりして過ごすという人も少なくないと聞く。
しかし、お正月は日本人にとって最も親しみのある伝統的な年中行事であり、おせち料理、初詣、お年玉、門松、鏡餅、七草粥などさまざまな風習が色濃く受け継がれている重要な文化的遺産といえる。

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