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第22回
野菜って調理方法によって栄養価が変わるんです〈その1〉

代表的な野菜の調理法として、「ゆでる」「煮る」「蒸す」「焼く」「いためる」などがあります。今回は、「ゆでる」「煮る」「蒸す」の3つの方法で調理した場合の栄養価の違いについてお話したいと思います。

ゆでる

野菜をゆでる主な目的は、やわらかくしたり、アクを抜いたりすることです。加熱すると、野菜の組織が壊れ、成分が外に出やすくなり、体内で吸収されやすくなります。
しかし野菜をゆでると、美容や健康、アンチエイジングに良いといわれているカリウムやビタミン類、またポリフェノールなど水溶性の微量成分だけでなく、鉄やカルシウムまで流れ出てしまうので、栄養価が低くなってしまうというデメリットもあります。
ゆで水に流れ出る栄養素の量は、野菜の種類や切り方によって変わります。
根菜類のミネラルは、強火で加熱すればするほど、加熱時間が長ければ長いほど、またゆで水が多ければ多いほど、流出量が多くなります。また、葉が薄くてやわらかい葉菜は、根菜類以上に栄養素が失われやすいです。
野菜をゆでればカサが減るので、量は多く食べられますが、ゆで方に気をつければ、栄養価の高いまま野菜を体内に取り込むことができます。

煮る

煮る過程で起こる現象はゆでる時とほぼ同じですが、煮物の煮汁はゆで湯よりも塩分が多く含まれているので、塩の脱水作用により、野菜の成分はゆでる時より流れ出やすくなります。ですから、塩分が高ければ高いほど、煮汁に栄養素が流れ出てしまいます。
ただし、イモ類などのでんぷんを含む野菜は例外です。加熱によって水を吸収して膨らんだでんぷんが粘り気をだし、水溶性の成分を流れ出にくくするからです。よって、煮汁がなくなるまで煮詰めたり(塩辛くならないように注意)、小麦粉や片栗粉、くず粉などでんぷん質のものを加えてとろみをつけたりすれば、野菜の栄養素を無駄なく体内に取り入れることができます。

蒸す

蒸気が冷たい野菜に触れ、水に変わる際に放出される熱によって野菜が加熱されます。これが野菜を蒸している状態です。野菜に触れる水は、表面につく水滴だけなので、栄養素が溶け出す量もゆでたり煮たりするのと比べ、ごくわずかです。
また、野菜の表面積が大きいほど栄養素が失われる量も多くなるので、細かく切って蒸した方が栄養の損失は高くなります。

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