松本すみ子の「@シニア」

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第23回
おかしな習慣を持つ人の勘違い ~健康と美容~

先日、「日経ASIAN AGING SUMMIT 2012」というフォーラムで、講師を務めさせていただいたことで、多くの医学関係の先生方や健康雑誌の編集長などと話しあう機会がありました。その中で、健康やダイエット、アンチエイジングに関して「それって、おかしいよね」という話がいくつも出ました。
私も日ごろから、「本当かな?」と首を傾げてしまうような状況やニュースに出くわすことがあり、先生方との会話で「やっぱりね!」という思いを新たにしました。今回は、その中から三つほどピックアップしてご紹介しましょう。
健康や美容の情報は、痩せたい、美しくいたい、健康が不安という人にはつい食いつきたくなるようなある種の魔力を持っています。しかし、へたをすると、かえって健康を害しかねないものもあります。流行に安易に乗らず、正しい知識としっかりした判断力を持つように心がけることが大切です。

糖質ダイエットの落とし穴

美容整形外科の先生が提案する「糖質ダイエット」本が話題になっています。徹底的に糖質、つまりお米やパン、イモ類などの糖質・炭水化物を摂らないダイエット法。肉類は問題なしのようです。
私が聞いた糖質ダイエット推進派の話はこうです。「人類はもともと狩りをして他の動物を捕まえ、タンパク質主体の食生活をしていた。農耕で穀物を大量に摂ることになったのは、ずっと後の文明が発達してから。したがって、穀物を摂りすぎることは健康によくない」。
さて、どうなんでしょう。私が会った医学関係の先生方は多くが否定的でした。確かに、糖質ダイエットをして3週間で6㎏やせたというような情報がたくさん飛び交っています。いかにも効果がありそうです。しかし、ある人に言わせれば、「そういう人は、適正体重よりも大幅に太っていた人が多い。太っている人はもともと肉類が好き。だから、糖質ダイエットは取り掛かりやすい。一方で、ご飯やパンなども食べ過ぎているから、それを止めればその分は痩せるはず」。
そして、それは個人的な体験、その方法をあたかも普遍的なもの、誰にでも通じるものとして、提唱するのはいかがなものか、健康な人にはむしろ動脈硬化の危険があるということでした。
私も糖質ダイエットの誘惑に駆られましたが、結局、止めました。なぜなら、私は米どころで育ち、小さいときから美味しいご飯を食べています。あんなに美味しいものを食べない生活は考えられません。要は、適量を美味しく食べればいいのだということに気付いたのでした。

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