名医に聞く

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第8回
〈肺がん〉 臓器別がん死亡数はトップ ただし、早期発見ならほぼ治せる

チームでがんと闘うキャンサーボード

がん治療はチーム医療だ。

神の手を持つ一人の名医ではなく、がん診療に関わる医療チームが一丸となって取り組むのが本当のがん診療だ。そのための方策として、取り入れる病院が増えているのが、がん研有明病院が先陣を切って始めた「キャンサーボード」という仕組みだ。

「キャンサーボードは患者さんの病態に応じた適切な医療を提供することを目的とする臓器別の検討会です。診断・治療に関わる内科、外科、放射線科や病理部、細胞診などの医師、それから臓器によっては、看護師、薬剤師も加わり、20人から40人が相談して、最善の治療を導き出します。呼吸器センターでは、肺がんの診療に関わる20人ぐらいが参加して、週1回、20人~30人の患者さんについて2時間ほどかけて検討します」(同)

たとえば腕に自信のある外科医であれば、目の前の患者に対して、どうしても外科的治療を行いたくなるだろうし、最新鋭の治療機器を導入したばかりであれば、その機器による治療をしたいと思うのが人情だ。しかしキャンサーボードでは、そうした医師個人の偏りは許されない。あくまでもエビデンス(科学的根拠)ベースでディスカッションがなされるからだ。またガイドラインは尊重されるが、体力などを含め患者の病態にあわせた最善の治療は何かが検討される。

「ただエビデンスベースでばっかり議論していると、新しい次の時代のものがでてきませんからね。チャレンジは必要です。それもやはり当院ではキャンサーボードにかけて検討し、患者さんにご提案することもあります」(同)

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