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第3回
〈尿路結石〉 治療の主流は「日帰り」も可能な衝撃波破石術(ESWL)

なりやすいのは、運転手、パイロット、銀行員

尿路結石にはオンシーズンがある。汗をかきやすく、尿の量が減りがちな夏場、評判の高い泌尿器科を有する東京大田区の黒田病院には、多くの尿路結石と思われる患者が救急搬送されてくる。

突然、疝痛(せんつう)と呼ばれる七転八倒の激しい痛みや血尿が起こる尿路結石。嘔吐や冷や汗を伴うこともあるその痛みは、尿管に結石ができ、尿の通過障害を来した場合に起こる。結石によってせき止められた尿が腎盂(じんう)や腎杯(じんばい)に通常の何倍もの内圧を加えるために、激しい痛みが生じるのだ。

「石」の主な成分はカルシウムで、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはその複合結石が大多数を占め、そのほか尿酸結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、シスチン結石などがある。それにしても、なんで身体のなかに石なんか出来るのだろう。

年間300件以上もの尿路結石患者を治療している、黒田病院の院長・黒田俊医師は言う。

「原因は体質でしょうね。出来る人は何十回も何百回も出来ますが、出来ない人はまったく出来ません。よく結石になりやすい食事とか、予防する食事法があるとか言いますが、あれはまったくの都市伝説。そんな証拠はありません。食事は関係ないです。

ただし環境要素というのはありますね。たとえばなりやすい仕事が2つあるんですよ。1つは、タクシーの運転手さんやパイロット。もう1つは銀行員、お金を扱う仕事です。この2つは、どちらも十分に水分がとりにくい仕事なんですよ。それと両方とも座り仕事で、運動がなかなかできない。さらに、お金を計算したり運転をしたり、飛行機の操縦もそうですが、緊張していますね。長い間緊張していなければならないというのもポイントです。

これらが結石にどう関連してくるかというと、水分と運動というのはなんとなくわかりますよね。では緊張はなんなのかというと、緊張状態ではおしっこの流れが悪くなるといわれています。だからこの3つを兼ね備えている仕事の人は結石になりやすい。逆に言うと、水分をとり、運動し、リラックスすることが予防には重要ということです」

では30~50代の男性に多い(男女比は約2・5対1)のはなぜなのだろうか。

「それは男女差というよりは、上記の3つを兼ね備えている仕事に就いている人の割合が男性のほうが多いということだと思いますよ」(同)

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