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第17回
〈帯状疱疹〉難聴、失明などの合併症が残ることも 早めの受診・治療開始が大切

四谷怪談のお岩さんは帯状疱疹だった!

帯状疱疹(ほうしん)は、痛みやかゆみといった前触れから始まるのが特徴。4~5日後には同じ場所に赤い発疹、水ほうができ、この間に痛みは強くなることが多い。発疹はまもなく膿疱になり、約2週間でかさぶたに。3週間ほどでかさぶたが落ちて治癒する。…と書くと簡単だが、実際には命をも脅かす怖い病気であることは、あまり知られていない。

「四谷怪談のお岩さんは、顔にできた帯状疱疹の典型的な症状です。現在は抗ウイルス薬のお陰で、そこまで悪化させる人は少ないですが、かつては命にかかわる病気だったのです。今でも、受診が遅れれば、帯状疱疹後神経痛、顔面神経麻痺、難聴、失明、尿閉、脳炎など重篤な合併症が起こります」(本田医師)

帯状疱疹後神経痛は一番多く見られる後遺症で、発疹が治っても3カ月から数年以上続く慢性の痛み。帯状疱疹の症状が重かった人、60歳以上の人は特に注意が必要だ。

「帯状疱疹後神経痛は、神経が炎症によって損傷を受けたことで発症すると考えられています。このような症状にならないようにするには、60歳以上の人は特に痛みのコントロールが大切です」(同)

顔面神経麻痺や失明は、帯状疱疹が顔面に発症した場合に、難聴は耳周囲に発症した場合に起きる。また腹部の帯状疱疹では麻痺性イレウスや、ごくまれなケースだが脳炎を起こすこともある。
初期の見た目は虫刺されに似ており、患者としては重病感を意識しにくいことからつい「仕事が忙しい」などと我慢して「様子を見ている」間にも、症状はみるみる悪化。深刻な事態になってからやってくる患者は、働き盛りの世代に結構多いというから要注意だ。

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