人生を謳歌する糖尿病生活のススメ

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第5回
糖尿病のおかげで大腸ガンを早期発見・根治したHさんの場合

牧田医師:さらに、空腹時血糖値が高い人は胃ガンが多いという研究報告もなされています。
これは九州大学で行われた研究ですが、空腹時血糖値が95未満の人に比べて、95から104未満の人は2.3倍、104以上の人は3倍の胃ガン発症率が見られたそうです。

Q:どのような理由があるのでしょうか?

牧田医師:血糖値が高い状態では、身体の免疫力が低下することが分かっています。
免疫力の低下は、ガンの発生と密接なつながりがあるといわれていますね。

Q:なるほど、それで先生は腹部CTや内視鏡検査をすすめるんですね。

牧田医師:はい。加えて、タバコを吸っている患者さんには肺のCT検査も受けていただいています。
あと糖尿病患者は動脈硬化や認知症にかかりやすいことも分かっているので、脳のMRI検査もすすめています。
せっかく私のところへ通い、血糖値をコントロールして糖尿病と上手につきあっている患者さんを、ほかの病気で死なせるのは絶対に避けたいですから。

Q:Hさんは大学病院へ通っていました。大学病院の先生なら、へんな病気はちゃんと見つけてくれるような気がしますが…。

牧田医師:そうでもないんですよ。
私もかつて大学病院に勤務していましたが、大学病院というところは検査1つとっても手続きが大変で時間もかかります。
そのせいばかりではないと思いますが、せっかく血糖値を上手にコントロールしていた患者さんが、大腸ガンや肝臓ガンで亡くなるケースをずいぶん見ました。
いたたまれないですよ。
大学病院をやめてクリニックを開業したのは、そうしたケースをなくしたいという思いもあったからです。

Q:大腸の内視鏡検査は、特に女性には人気がないようですね。

牧田医師:そうですね。
女性の場合、恥ずかしがる患者さんは多いです。また、つらい検査というイメージも強いようです。

Q:でもHさんはつらくなかった?

牧田医師:私が信頼し、連携を組んでいる胃腸クリニックの医師は、ニューヨークで研鑽(けんさん)を積んだ内視鏡のプロフェッショナルです。
腕から少量の鎮静剤を注射してくれるので、「いつの間にか眠っているうちに終わっていた」という患者さんが多いです。
ガスも抜いてくれるので、検査後にお腹が張ることもありません。

Q:しかもガンまでとってくれる?

牧田医師:そうです。
ごく初期のガンは、その場でとってもらえます。
「命拾いした!」と喜んでくださった患者さんが結構いらっしゃいますよ。

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