写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン

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第4回
基礎編(4) 主役を決めて、全体をよく見て!


【写真1】

【写真1】では、手前の大きめの花が主役であることは構図からも感じられると思います。さらに、その後ろにもう一輪といくつかの蕾が脇役的に配置されてい ます。少し暗めの緑に囲まれた薄ピンクの花の明るさが映えますが・・・画面左端に主役の花と少し色の違う花が小さく写っています。あえて違う色の花も入れ て・・・ということでなければ、シンプルにピンクの花の美しさを強調するためには、この左の花は写さないほうがよいでしょう。

「端っこにちょっと何か写っているくらい、いいじゃない・・・」と思う読者の方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。(笑) 私は写真についてご質問いただいたとき、料理の話に例えて説明することがあります。こんな場面を想像してみてください。 ある料理を食べていると、気になる食材が入っていて、料理を作った人に「ちょっとだけ入っているこの野菜はなんですか?」と尋ねたとします。もし、作った 人に「なんでしょうね?気がつきませんでした。入れたつもりはないのですが・・・」と言われたら、どんなふうに思いますか? その人が美味しい料理を食べ てもらおうと丁寧に作ったとは思えないですよね。 写真はカメラという機械を使って撮影してしまうだけに、料理ほどは細かいことを把握することが難しいかもしれません。ですが、写真の上達のためにも、一枚 一枚の写真を丁寧に考えられるようになることはとても大切です。それが「伝わる写真」への第一歩だと思うのです。



【写真2】

【写真2】は手前の黄葉の明るさや色彩を際立たせるため、暗めの背景になるように立ち位置やアングルを選択しています。黄葉より明るいもの、目立つものが入ってしまっては、主役の存在感が弱くなってしまいます。

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