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第1回
日帰りで秘湯を贅沢に愉しむ。成田の名泉・大和の湯を訪ねて

3階に着くと、すぐに和風ダイニング「あじ彩」の小上がり席が見えた。
それぞれガラスで仕切られているので個室のよう。隣の客に気遣うことなく、オープンな空間を楽しめるようになっている。
その奥にはテーブル席があり、広間席にはテレビもあるので、その日の気分に合わせて席が選べる(※3)。

「あじ彩」にはワインセラーが備えられており、100種類以上のワインが並んでいる。
見ると、すべて国産だ。ワイン好きのオーナーが、国産にも良いワインがたくさんあることに着目し、オーナー自らがテイスティングして選んだ国産ワインだけを取り揃えているとのこと。

料理へのこだわりもすごい。
普通の日帰り温泉施設はファミリーレストランのようなメニューが多いが、同店は高級料亭のように天ぷらやすし、旬の魚や野菜の料理、またそばや湯葉などが楽しめる。
私が訪れたときは春だったので、たらの芽やふきのとうの天ぷら、カレイの煮付け、たけのこ土佐煮などが用意されていた。
さらに、農薬や化学肥料を一切使わない農家と契約し、日々新鮮な完全無農薬野菜を取り寄せているとのこと。見栄えの良さを追求するだけでなく、味も本格志向なのだ。

なお「あじ彩」には、1時間2,800円(2名利用の場合)で利用できる個室もある(※3)。
料理が楽しめるだけでなく、ミニ露天風呂やテレビまで付いており、完全なプライベート空間としてゆったりリラックスできるので、ファミリーでの利用はもちろん、親孝行のために両親を招待するといった利用方法も良いだろう。

「あじ彩」の向かいには、寿司バー「紫苑(しおん)」がある。
のれんをくぐって絶句した。
巨大な窓からは広大な田園風景とどこまでも続くような空の大パノラマ。晴れた日には富士山も拝めるそうだ。
それを背景に腕の良さそうな板前さんが美しい包丁さばきで仕込みをしており、私の姿を見るなり粋な声で「いらっしゃい!」。その手前にはモダンなカウンター席が並んでいる。
日帰り温泉施設に来ているということをすっかり忘れ、気分はすっかりプライベートを満喫中のセレブ。

「紫苑」では、淡路島直送の魚をおもに使っている。
「淡路島の漁場は、太平洋の暖流系の黒潮と瀬戸内海の冷たい海水が混じり合ってプランクトンが発生しやすいので、魚の種類もうまみも本当に豊富。見てくださいよ、この艶やかさを」と、シェフはニコニコしながらネタを見せてくれた。
しろうと目から見ても、その新鮮さがわかるほどキラキラしており、身は引き締まっている。直線距離でも500km以上離れた淡路島から日々取れたての鮮魚が届くとは、驚きだ。

「紫苑」も野菜にこだわっており、有機栽培や特別栽培を行う農家による生産者連合「デコポン」から仕入れている。だから、サラダに使われるレタスも、かっぱ巻きに使われるキュウリやネギトロに使われるネギなども、魚に負けない新鮮さなのだ。

メニューは「板前おまかせ」のコースや「にぎり」のセットがあり、一貫ずつのオーダーも可能。セットメニューは一人前1,000円からとリーズナブルなのも嬉しい。
ドリンクメニューも豊富で、ワインやビールはもちろん日本酒・焼酎は8種ずつ、梅酒も3種と、オーナーに選び抜かれた確かな酒が揃っている(※4)。

大パノラマ風景に負け、こちらで食事をすることにした。
早速、一口ほお張ると…と感想を書こうとしたが、どう書いても陳腐な文章にしかならないので割愛する。
ウマいものを食べると脳がしびれ、逆にウマい言葉が浮かんでこないのかもしれない。
ただただ、ねっとりと舌にまとわりつく鮮魚のうまみに感動し続けたことだけ、記しておく。

(※3)座席や個室の利用については、事前に同施設へお問い合わせください。
(※4)2013年4月時点。ドリンクは「あじ彩」「紫苑」とも同じメニューです。

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