荒野のエッセイスト(音楽編)

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第22回
今どきのアレンジで聞く昭和歌謡

歌窈曲 一青窈
発売:フォーライフ・ミュージック・エンタテイメント

曲目
「喝采」「他人の関係」「終着駅」「赤い風船」
「星影の小径」「逢いたくて逢いたくて」
「天使の誘惑」「リンゴ追分」
「アカシアの雨が止むとき」「竹田の子守唄」
「時代」

一青窈。
言うまでもないが、ヒトトヨウ、と読む。
台湾と日本とのハーフ。
2003年に日本レコード大賞最優秀新人賞、
2005年には日本アカデミー賞新人賞と
日本レコード大賞作詞賞を受賞している。
歌手、俳優、作家として評価された
世にもまれなる才能の持ち主、ということになる。

彼女の最新アルバムが「歌窈曲」。
何と11曲の昭和歌謡を集めたカバーアルバムだ。
最初の曲は静かなピアノ演奏から始まる「喝采」。
一青窈についてはあまり詳しくは知らないが、
こざっぱりした歌い方、ナチュラルな演技をする人、という印象があった。
ところが、意外にアクの強い歌い方をする。
鼻にかかったいささか不自然な歌い方。
どこか沖縄っぽい。
ライト感覚の元ちとせというムード。
南方の血がそうさせるのか……。

2曲目はリズミカルな「他人の関係」。
オリジナルの歌手とは一線を画した歌声が響く。
どの曲も知っている曲ばかり。
これがカバーアルバムの楽しさだ。
その声にあまり深味は感じないが、
歌詞は決してメロディーに流されず
頭の中にスコンと飛び込んでくる。
ドラマ性と説得力のある歌声。

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