荒野のエッセイスト(音楽編)

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第22回
今どきのアレンジで聞く昭和歌謡

そこに昭和の純情はない。
酸いも甘いもかみ分けた大人の女。
彼女の歌唱力とアレンジと今という時代が、
昭和歌謡と「歌窈曲」とのギャップを生む。
そこがまた楽しくもある……。

♪愛した人は あなただけ(逢いたくて逢いたくて)
とささやかれても「本当かよ!」と
♪ごめんなさいね、あの日のことは
恋の意味さえ 知らずにいたの(天使の誘惑)
とあやまられても「知ってたろ!」と
思わずツッコみたくなってしまう。

古き良き名曲を現代のアレンジで聞く。
すっかり変わってしまった昔のカノジョとデートをしているような、
懐かしさと幻滅と新発見の入り交じった複雑な気分。
そこには古い曲をそのまま聴くのとは一味違った
マゾヒスティックな喜びがある。

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