荒野のエッセイスト(音楽編)

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第7回
チェンマイで流れた音楽

音楽の力はすさまじい。
大半は知らない曲ではあるが、
たまによく知った古いモータウン系の曲が流れてくると、
初めてやって来たアジアの地が、
急に身近なものになる。
一瞬、「チェンマイは俺の街!」という気分にさえなる。
チェンマイでの最初の夜、
ナイトバザールの熱気と、
優しいオカマの洗礼を受け
僕の旅行は始まった。

次の日の早朝、同じ場所を歩いてみると、
何と、そこには、何もない!
路上を埋め尽くしたすべての露天が
土台からあとかたもなく消え去り、
がらんどうの空間がどこまでも広がっている。
まるで南国の夜から醒めたようだ。

すべてのものが一夜のうちに運び込まれ
終了と同時に撤去される。
これが雨の日も風の日も年中無休でくり返されるのだ。
チェンマイのエネルギー、恐るべし、である。

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