江戸の名残を歩く

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第19回
芭蕉ゆかりの深川を歩く

芭蕉稲荷

芭蕉ゆかりの史跡はもう一つあります。展望庭園近くにある芭蕉稲荷です。
時は、芭蕉の時代から200年以上経過します。

カエルの石像

大正6年(1927年)に大津波が東京を襲いました。隅田川を逆流する形で深川も大きな被害を受けましたが、その後、芭蕉庵があった辺りから芭蕉が愛好したという石造の蛙が発見されました。
ここに芭蕉庵としての由緒を記念に残そうという動きが起き、芭蕉稲荷が建立されたのです。境内には芭蕉の句碑などもあります。本来ならば、この地に芭蕉記念館を置くはずでしたが、土地が狭いため現在地に建設されることになったのです。

稲荷正面

芭蕉稲荷に向かい合うような形で、もう一つお稲荷さんがあります。正木稲荷といいます。このお稲荷さんにもお参りしていきましょう。
江戸以来のお稲荷さんですが、柾木の大木があったため正木稲荷と呼ばれるようになりました。境内の柾木の歯が腫れ物の治療に効果があったとされます。

稲荷の碑

全快まで、蕎麦絶ちをすれば良いのだそうです。あの滝沢馬琴の妻も正木稲荷に参詣したという記録が残っています。芭蕉だけでなく馬琴の面影も、この界隈には残されているのです。

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