江戸の名残を歩く

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第31回
徳川家康と菅原道真に上野で出会う

上野東照宮を出て、南に下って行きましょう。この辺りは、春になると桜の花見でごった返す場所でもあります。やがて右手に五条天神が現れます。

五条天神境内

五条天神は、日本武尊によって創建された社です。祭神は大国貴命(おおくにぬしのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)ですが、東国平定の際、この2神のご加護を受けたということでこの地に祀ったのです。大国貴命と少彦名命は、医療を司る医薬の神と呼ばれています。仏教で言うと、薬師如来にあたります。体調を崩した際、この2神に祈ることで危機を脱し、そのお礼のため祀ったのでしょう。

そして、家光の治世にあたる寛永18年(1641)に学問の神様である菅原道真、つまり天神も祀られたことで、ここに五条天神が誕生することになります。

花園稲荷

しかし、4代将軍家綱の時に別の場所に移されます。いくつか変遷を重ねた後、昭和3年(1928)に現在地に帰ってきました。境内にはお稲荷さんも祀られています。花園稲荷神社といいます。赤い鳥居がひときわ鮮やかです。

上野公園を歩いてみると、寺の面影はもちろんのこと、徳川家康や菅原道真などの面影にも出会うことができるのです。

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