お取り寄せからみたニッポン

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第20回
鳥取県・日本海が育てた弓浜絣

図柄に込められた思い

弓浜絣の文様は、独特な存在感に溢れている。図案のモチーフは多岐に渡るが、どれも大胆でコントラストがはっきりしている。弓浜絣は横糸で柄を織り出す技法のため、緻密な柄より、しっかりした存在感のある柄が似合うのだ。良質な綿は厚手でしっかりしており、そうした柄と相まって、全体的に民芸色が強いのである。
そのため、新しいデザインや今風な作りの製品が少ないのではないかと思ったのだが、次世代の後継者も育ちつつあり、さまざまな挑戦も試みられている。

フラワーパーク「とっとり花回廊」で開催された
「弓浜絣展と伯州綿フェア」のポスター

たとえば、鳥取県西伯郡南部町にあるフラワーパーク「とっとり花回廊」で開催された「弓浜絣展と伯州綿フェア」では、弓浜絣を現代風にアレンジしたアクセサリーや着物の展示販売が行われ、多くの人で賑わった。
また、境港市外江の南家織物の工房では、かわいい猫の人形や、インテリア製品も数多く作られている。さらに、境港の観光地「水木しげるロード」の店とコラボレーションして、ドクロや狐などをモチーフとした陶製ボタンを留め具に使ったトートバッグなどを制作。地元の伝統工芸と、“妖怪の街”のクラフトのコラボレーションとして、話題になった。

もともと農家の主婦が、娘の結婚に際して嫁ぎ先にしっかり根付くよう「いかり」の柄を描いたり、子供が生まれるときには未来に羽ばたく鷹をモチーフに織るなど、自分の素朴な思いとあたたかい気持ちを込めて作られてきたのが、弓浜絣だ。これからも、それぞれの時代の思いを込めて、新しい弓浜絣が作られていくのだろう。


●弓浜がすり伝承館
http://furusato.sanin.jp/p/area/sakaiminato/10/


●鳥取県公式サイト/とっとりの工芸品/弓浜絣
http://www.pref.tottori.lg.jp/95610.htm


●永見呉服店/本場弓浜絣<
http://www.nagami-gofuku.jp/kasuri.html

●とりネット/とっとりの手仕事/工房紹介
http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=29046

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