『ものづくり』からできること

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第15回
「陰影」は存在感

文章を書くときには、内容によりどちらの漢字を選ぶか少し迷ってしまう所があります。そこで、図を見ていただくと判りやすいと思ったのですが、そんなことありませんでした。例えば、木陰(コカゲ)は木から地面に延びた影を指しますよね。どうして「木影じゃないの?」と思ってしまいますが、その理由をここでは追究しません。話の趣旨から外れてしまうのでご了承ください。

モノの立体を強調した表現にはこの「陰」を活かします。光の「強さ」と「角度」によってモノの印象をコントロールします。正面から光を当てた場合は、形状の凹凸がフラット(平面的)に見える可能性が高く、尚且つ強い光には表面の質感が失われることになります。反対に斜光からつくり出す陰は、よりモノの形状を把握できるものになります。

一方の「影」はモノの存在に重みを与えます。(=存在感を強調)絵の主体に濃い影を付けたり、写真撮影でも被写体に影が加わることにより、モデルやモノの主張を強める効果があります。

「陰影」(陰と影)は、その大きさと濃淡をコントロールすることで、モノを表現するときにとても重要なポイントになります。ここでの話は絵画や写真に限ったことではありません。モノづくりでは「視覚効果」の高いほうが有利であることに間違いないのです。もちろん、その中身(機能)も大切です。ただ、すべてにおいて「光に照らされた情報」が印象として残ります。同じ形状のモノでも違った光の当て方、陰影の付け方で大分雰囲気が変わってしまいます。日常の生活の中(自然光や照明)で、どのような見え方をするのか想像することが必要なのかもしれませんね。モノづくりの過程で一番最後にある「見え方」は本来、最初の段階で想像すべき事なのかもしれません。繰り返しになりますが、その時の「陰影」は重要です。

私も影が薄い人ではなく、「存在感のある人間」でいたいものです。「コントラストのある生き方」って言うと少し恰好つけ過ぎでしょうか(笑)

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