私が見つけたライフワーク(2)

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第5回
ツボミが名前の由来になっている花

[写真5]普通のアジサイ

ところでアジサイは、園芸店でもハイドランジア(西洋アジサイ)として人気があるため、アジサイの本場は西洋であると思っていませんか?実はそうではなく、本家本元は日本なのです。アジサイは元々ガクアジサイから日本で作られたものです。タマアジサイもガクアジサイの仲間で、日本だけの花なのです。
最初にある花の歴史物語を紹介しましたが、その花は西洋アジサイであり、異人はあの有名なシーボルトです。日本では西洋医学を伝えた医師として有名ですが、シーボルトは博物学者でもあり、日本の植物や動物を広く世界に紹介しました。特にアジサイには惹(ひ)かれたようで、日本にいたときの妻の名前をアジサイの学名にしようとした、という有名な話が残っています。

[写真6]ガクアジサイの仲間のヤマアジサイ
[写真7]同様に白いヤマアジサイ

さて、ご存じだと思いますがアジサイは「紫陽花」と書きます。私も気に入っている漢字表現の一つでしたが、実は間違いで、正しくはアジサイの漢字は存在しないのだそうです。中国に紫陽花という植物が存在していたようですが、どの花を指すのかはよく分かっていません。少なくとも、アジサイは日本にしかなかった花なので、紫陽花とは別の花だそうです。昔の人が日本のアジサイは中国の紫陽花だと間違って言ったことが、現代まで伝わっているようです。
間違いだと分かれば、例えば花の様子から「青毬花」など別の漢字を考えれば良かったのに、紫陽花のまま言い伝えられてきたことが不思議です。でも、すてきな表現だと、間違っていても定着してしまうものなのですね。

アジサイは、正確には山野草ではありません。木の仲間です。でも、人の目線で花が楽しめる低木なら、見る側にとってはほとんど山野草です。しかも、しゃがまなくても花が楽しめるという利点もあるので、大いに楽しんでもらいたいと思います。
ただ、タマアジサイは日本全国どこでも見られるというわけにはいかず、本州でも東北の南から中部地方あたりまでの比較的狭い範囲でしか見られないようです。ちなみに私が見たのは、伊香保温泉の周辺です。7月から8月ころ、標高があまり高くない場所をぶらつけば、出会えるかもしれません。

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