私が見つけたライフワーク(2)

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第9回
ふつうに見られる日本の野生ラン

次は「ミズチドリ」。これは山の湿原に自生しています。関東なら手軽なところとして、尾瀬で見られます。ここは地域全体が保護地域になっているので、生き延びていられるのだと思います。保護はされていますが自然の状態で咲いているので、自生している姿が楽しめます。
名に「ミズ(水)」が付くように、湿地が好きなようです。

尾瀬湿原のところどころに咲くミズチドリ
木道の近くに咲いているとラッキーです

尾瀬に咲くランでもう一つご紹介したいのが、トキソウ。こちらは色がピンクで花は開きます。トキとは、今ヒナが生まれて話題の、学名が「Nipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)」のトキのことです。このトキの翼の下面がサーモンピンクで、その色をしている花だからトキソウと呼ばれています。
尾瀬のトキソウも湿原の中に咲いているので、近づいて見るのは大変ですが、それでも花の時期なら木道近くに咲いているときもあるでしょう(私が見たときはちょっと時期が遅く、遠くからしか見られませんでしたが)。でも、このトキソウ、トキ色よりずっと濃いピンクに見えます。もう少し薄い色だと、トキ色に近くなるのでしょうか?
そういえば少し古い時代、明治から大正にかけてのころは、このトキソウは同じランの仲間であるサギソウとともに田んぼ付近で普通に見られたといいます。山のように寒暖の差が大きいところは花の色が濃いといわれるので、もしかしたら田んぼで見られるトキソウは色も淡く、トキ色に見えたのかもしれませんね。

トキソウです。少し遠いのが残念です

ところで、ランはなぜ「蘭」と書くのでしょう?蘭は、くさかんむりに「闌」と書きます。「闌」という字は普段使わない気がしますが、じつは言葉としては今でもよく使われます。「宴たけなわですが…」と宴会をお開きにする際の常とう句「たけなわ」です。「今が盛り」という意味だそうです。
中国では、高貴な香りがするランは菊、竹、梅と並ぶ四大君子の一つとして大事にしているそうです。

その昔、においが良いフジバカマに当てられていた「蘭」という文字は、その後「今が盛り」になったランを指すように変わっていったのだそうです。
また、調べて驚いたのは、現在の中国では「蘭」と書かずに「兰」又は「兰花」と表記するそうです。日本人としては、簡単すぎて高級な花のイメージがしないので、「蘭」の方がなじみますが…。

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