私が見つけたライフワーク(2)

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第9回
ふつうに見られる日本の野生ラン

シラン(紫蘭)。ランをじっくり眺めるのには向いています

ちょっと脱線しましたが、最後にシランを紹介します。「よく庭で見かけるし、園芸店でも売っているじゃない」と言われそうですが、元はれっきとした日本の野生ランです。花が美しいので、やはり盗掘に多く遭ったことと、環境の変化により数が減り、準絶滅危惧種に指定されるようになり、自然のものはあまり見られないということです。
庭にあるシランは、「これが絶滅危惧種?」と思ってしまうほど丈夫なランで、猛暑の夏にもめげず、毎年咲いています。こんな丈夫な花が、自然ではあまり見られないというのは、何とも皮肉で不思議な感じがしますが、シランは園芸品種であっても花の姿は自然の物と区別がつかないそうですから、自然と同じ物がどこででも見られるのはラッキーと考えて楽しめば良いでしょう。

実は、シランは手軽に扱えるので、標準的なランとして教科書的な役目をしてくれているそうです。そんなことが分かる事例を一つだけ紹介します。
多くのランは普通に咲くと、左の写真のように咲くのですが、どこか変ですね。そう、逆さまです。本来はこのように咲いていて、何かの都合で逆さまに咲くように進化したといわれています。
その証拠に、ツボミのときは普通に上を向いているのに、咲くときはねじれて逆さまに咲きます。右の写真を見ると、ツボミがだんだんとねじれ始め、咲いた花を後ろから見ると完全にねじれ、逆さまに咲いていることが分かります。自然の妙を感じさせる、ひとこまです。

昔はこのように咲いていた?
花の茎がねじれて咲いているのが分かります

他にも場所や時期によっては見られる野生のランもあると思うので、野山に出かけるときは、ぜひ探してみてください。

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