らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第17回
ツリフネソウは意外な花と仲間だった

花を見たときの感じ方は様々ですが、初めて出合ったときの印象は、その花の特徴があればあるほどそれが前面へ強烈に出てくるようです。私が最初にこの花を見た時は「変わっているなあ~!」が正直な感想でした。
もちろん、花はきれいなのですが、それより吊り下がって咲くと言う姿にびっくりしたのです。普通花は上に向いて咲きます。他に横を向いたり、わざわざ下を向いて咲く花もあります。中には吊り下がるような花もありますが、多くは枝から一列に並んだり放射状に広がって下を向くもので、吊ると言うより下向きに垂れていると言う感じの状態です。

ツリフネソウは花の基ではなく、途中を吊している変わった花です
ツリフネソウは花の基ではなく、途中を吊している変わった花です


しかし、ツリフネソウは花の側面を吊っているのです。何とも奇妙な形です。こんな吊られ方をしている花は他に知りません。吊っているのですから、「吊船草」なのかと思ったら「釣船草」が一般的和名のようです。吊船草の名前も見られますが、大抵は釣船草・吊船草のように釣船の方が先に書かれています。元々は「釣」がつりあげる、「吊」はつるす意味なのですが、現代の辞書では区分されておらず、同じ扱いをしています。これは多分常用漢字の影響だと思いますが、固有名詞に関しては本来の意味を誤解しそうですね。なお、釣船と言う漢字がありますが「つりふね」ではなく「つりぶね」と読むそうです。

横から見るとどうしても魚に見えます

正面から見ても下の花びらが魚のひれの様で…


この花の姿は船を吊っている様子だと言うのですが、なかなか船には見えません。どう見ても魚です。しかもチョウチンアンコウの感じもします。また、ツボミのときは仮面が吊られているようで少し怖いくらいです。これらは、ちっとも風流な名前になりそうもないのでツリフネソウのままにしておきましょうか。

花も変わっていればツボミも変わっています
花も変わっていればツボミも変わっています





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