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第20回
好かれそうもない名前をつけられたマムシグサ


暗い林の中で怪しく赤い実をつけるマムシグサ暗い林の中で怪しく赤い実をつけるマムシグサ

また、マムシグサは名前でも損をしていると思います。マムシグサの仲間は日本に20~30種あると言われますが、その多くは何々テンナンショウと呼ばれています。マムシグサはサトイモ科で、属の名前がテンナンショウだから「なんとかテンナンショウ」と言う名前が多いのでしょう。テンナンショウ=天南星で、中国にある類似種を指すそうですが、日本でもその漢字を充てたようです。天南星と言う名前の由来は白く丸い塊根が南極老人星のようだとか、真っ赤な実が南天の実のようだとか言う説がありますが、少し無理があり今一つはっきりしません。

南極老人星はりゅうこつ座のカノープス(全天で2番目に明るい星)ですが、日本や中国では南の地平線際にやっと見える位置なので夕日と同じ原理で赤く見えるそうです。天南星は赤を意味する言葉だったのでしょうか? そう言えばマムシグサの赤い実は薄暗い林の中でも目立ちますね。


全体緑でも茶色と同じものだとされるマムシグサ全体緑でも茶色と同じものだとされるマムシグサ

マムシグサと一口で言いますが、細かく分けると10種類以上になるのだそうです。専門家は中間型のものも多いので分けにくく、全部同一種として扱うことにしたそうです。色が緑のものまで同じ種類にされ、十把一絡げの扱いでは少し可哀想な気もします。

マムシグサは他のテンナンショウと比べると好かれてもいないし、大事にもされていません。ただ、そんなマムシグサにもいいことがあるとすれば、盗掘されることもなく、気ままに生きて行けることかもしれません。テンナンショウと名がつく幾つかは絶滅危惧種に指定されるほど減っていると言うから生き抜くのに苦労しているようです。

マムシグサはこれからも不気味さを活かして、悠々と生き残っていくと思います。

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