らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第6回
ラショウモンカズラは藪の中

ツルはこんな風に伸びていきますがあまり伸びませんツルはこんな風に伸びていきますがあまり伸びません

この花、今はラショウモンカズラと呼ばれますが、昔はただ羅生門と言ったようです。実際、江戸時代の和漢三才絵図には羅生門(らしゃうもん)とだけ書かれているのでカズラは後から付けられたのかもしれません。そのカズラはツル=蔓のことを指すのですが、花が終わった後にツルを伸ばすのが理由のようです。


ところでカズラはその昔、植物のツル(古くはツラ)で作った髪飾りを言いました。天の岩戸前で踊った天宇受賣命(アメノウズメノミコト)が頭にかざしたと古事記にもあり、それからツル性の植物を意味する言葉になったと言われます。カズラは葛と書くのですが、クズの花も葛と書きます。どうしてでしょうか?
クズもカズラも漢字が伝わる以前からあった言葉のようです。漢字が入って来たとき、葛は植物のクズと判ったので葛になったのは分かりますが、カズラも葛になったのはよく分かりません。カズラは最初、鬘と書いたようです。つる性の植物に用いられるようになってつる植物の代表である葛(クズ)を使うようになったと言うのでしょうか? つる=蔓という漢字があったにも関わらず、です。もしかしたら、○○蔓では「その植物のツル」と言う意味になってしまうから羅生門葛としたのかもしれませんが、詳細は分かりません。真相は藪の中のようです。


林の中が似合うラショウモンカズラ林の中が似合うラショウモンカズラ

ちなみに、この「藪の中」は芥川龍之介の小説が語源だそうで、映画の「羅生門」はその小説を基にしていると言うので因縁めいた感じもします。ラショウモンカズラの花は知人から頂いたものが我が家でも頑張って咲くのですが、やはり藪の中ならぬ林の中が似合うと思います。

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