らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第12回
ビロードモウズイカとはまた変な名前ですが…

山野草で遠くから見てすぐ分かるものはそんなに多くはありません。あるとすれば、やはり大型の野草でしょうか。山ではそう言うものに出合うことは結構あります。しかし、市街地周辺となると事情は違います。集団で目立つセイタカアワダチソウなどは別として、単独でも目立つのはタケニグサとこの花くらいでしょう。その大きさと独特な容姿、日本のものではないことは一目で分かります。

外観はこんな感じです
外観はこんな感じです

名前はビロードモウズイカ。見た目は西部劇や南米の草原に似合いそうですが、原産地はヨーロッパだと言います。ただ北欧から中欧辺りとか地中海沿岸、ヨーロッパ・北アフリカから中央アジアまでなどと言っている場合もあり、どれが正確なのかよく分かりません。
ただ、今年トルコを訪れた同僚Kさんの写真には似たような花が写っていました。また、学名Verbascum thapsus の thapsus は古代ギリシャの植民地に由来すると言われ、ギリシャではこの花の名前だとも言うので、地中海辺りは原産地の一つなのかもしれませんね。

トルコの仲間は花も似ていて

外観も似ています


ところで、ビロードモウズイカと言う名前は不思議な名前です。ビロードは何となく分かります。葉の様子からでしょう。しかしモウズイカとは何でしょう? 最初はモウズ␣イカでイカに関係ある?などと思ってしまいましたが、言葉を分ける位置が違っていましたね。モウ␣ズイ␣カとすべきだったのです。それでも漢字にしないと無理でしょうか? 毛蕊花と書きます。蕊が分かりにくいのですが、雌蕊(メシベ)、雄蕊(オシベ)の蕊で音読みはズイと読みます。

何となく分かったような分からないような…ですね。実はオシベの軸(花糸)に毛が密集しているからと言うのです。咲ききらない花の中なので少し分かりにくいですが、確かにオシベの軸に毛が密集しています。

確かに葉はビロード状です

オシベに毛…でこれが毛蕊、でも毛がないものも


それにしても、こんなに大きく立派で一目で分かるこの姿の名前が何でこんなに細かいところのものにしたのかと思います。まあ、全体の見事な大きさと名前の由来がこんなに小さいと言うアンバランスが面白いので良しとしましょう。


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