ライターHの“デジモノ”放談

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第27回
電子書籍は“第2の夜明け”を迎えるか!?

新刊でも意外とそろう電子書籍

買い求めやすくなった電子書籍の専用端末。さらに2年前から格段に進んだスマートフォンやタブレット端末の普及。電子書籍を読む環境はそろった。残る問題は、電子書籍端末やスマートフォンで「どんな本が読めるのか?」という疑問を解消していくことだ。

実は閲覧できる書籍に関しても、従来に比べると状況が大きく変わった。電子書籍に積極的な講談社は、原則として6月から紙の書籍と電子書籍を同時刊行している。書籍を執筆すると、特に何もいわなくても、電子書籍版も刊行される体制が整いつつあるのだ。

電子書籍端末を利用している人なら、一般的に話題になる(読みたい)書籍は、電子書籍で手に入ることを理解している。しかしながら多くの方は、こうした状況になっていることすら知らないのだ。現役の電子書籍読者と、非読者の温度差は大きい。

ソニーが運営する電子書籍ストア「Reader Store」では、毎週400~600冊前後のペースで、新刊の電子書籍が追加されている

上は楽天の「コボ タッチ」とソニーの「Reader」で、各電子書籍ストアのランキングを表示させたところ。ベストセラーの上位は、同じ書籍の名前も見える

もちろん電子書籍化が当たり前のことになると、新しい課題も出てくる。コンテンツ数が増えてくるほど、本と出会うチャンスが減るという弱点だ。街にある大型書店には数万冊という本が並んでいる。書店へ出向き、じっくりと歩き回れば、興味のある本が何冊も見つかる。ある本を探す目的で出かけたのに、違う本まで買ってしまうこともザラだ。

しかし電子書籍は、メーンとなる売り場が限られる。新刊や話題になった本は、目に留まるが、そのほかの本はデータベースの奥深くに埋もれてしまうのだ。電子書籍ストアは、メールマガジンやTwitterなどを使って新刊情報を出しているものの、未知の書籍と出会う機会は少ない。

このように書店と紙の本にかなわない部分もあるが、文庫本程度の軽い電子書籍の専用端末、もしくは持ち歩いているスマートフォンやタブレット端末で本が読めるのはすばらしいこと。個人的には文芸書などの文字モノと専用の電子書籍端末、マンガとタブレット端末(特にiPad)の組み合わせは気に入っている。

年末にかけて再燃しそうな電子書籍ブーム。最新の専用端末、そして電子書籍の出版事情に注目していくと、本の面白さや魅力を再認識できるに違いない。

電子書籍はスマートフォンやタブレットでも読めるが、最も快適なのはやはり専用端末だ。目が疲れづらいという点だけでなく、バッテリーが長持ちするというのも大きなメリット。スマートフォンだと、バッテリーがみるみる減っていくので実用に欠けるのだ

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