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第22回
コウリンカはカタカナのままでは分からない

日本での花の名は漢字、カタカナ、ひらがなの3種類で表現されますが、漢字では分かり難いものもあります。例えば、桜や藤は漢字でもすぐ分かりますが、苧環や酢漿草と書かれると…。苧環はオダマキで、酢漿草はカタバミの漢字表記です。難しい漢字は他にもあるので、普通カタカナを使います。ひらがなもあるのですが、不思議な事に短歌などの文学以外ではあまり見かけません。

コウリンカが咲いている風景コウリンカが咲いている風景

しかし、カタカナだけだと今度は意味が分からないことが出て来ます。今回のコウリンカもそうで、最初コウリンで浮かんだ漢字は光輪で光輪花かと思いました。後は後輪、降臨、光琳くらいですが、花の名前には結びつきません。正解は紅輪花、紅輪は思いつきませんでした。


要注意のオオハンゴンソウ要注意のオオハンゴンソウ

この花にキクの名はつきませんが、見ればキクの仲間に見えます。しかし形はすこぶる変わっています。まず花びら(正確には舌状花と言い、一つ一つが独立した花ですが花びらにしておきます)まばらな感じで隙間が空いています。そして、その花びらが真ん中の丸い部分の下側から出て、そこからまた下の方へ垂れ下がっている姿をしているのです。なかなか珍しい形ですが、少し似ているのがオオハンゴンソウ。日本のものではなく、こちらは外国産で至る所に野生化していて、繁殖力が強く丈夫過ぎて特定外来生物として指名手配になっている花です。


変わった花のせいか、コウリンカはキク科ではあっても普通キクの仲間には分類されず、日本独特の表現である野菊の中にも入っていないようです。野菊は学問的な分類ではなく、「野に咲く菊」のような文学的なイメージ分類ですが、日本の野菊(山と渓谷社、いがりまさし著)と言うハンディー図鑑でも、掲載されている野菊は全て白、黄色、紫のいずれかで、橙色はありません。やはりレンガのような色は変わっているのでしょう。
私は最初に見た時、少なくとも野菊かなと思ったのですが、コウリンカと言う響きは堅く、名前だけだと確かに優雅なキクのイメージは湧きませんね。

コウリンカの特異な形と色
コウリンカの特異な形と色




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