名医に聞く

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第11回
〈てんかん〉 不治の病ではない 70~80%は発作のコントロールも可能に

診断の要は発作の症状 見極めは専門医でなければむずかしい

診断は、発作の様子を医師に詳しく説明することから始まる。

「発作には、脳のどこから出てくるかによって特有の症状があります。したがって発作の症状を伺うことで、てんかんのタイプを推察することができるのです」(同)

とはいえ患者の多くは、発作が始まると意識が障害される場合が多いため、自分の発作の状態や状況を話すことができない。よって、てんかんの疑いで病院を受診する際には、発作の介助者や目撃者と一緒に診察に行く必要がある。

「症状がよくわからないと、それが果たしててんかんの発作かどうかさえ判断できません。当クリニックでは、発作をよく観察している人と一緒に来院してもらい、じゃあ私の目の前で演じてくださいとお願いします。最初の兆候はどうで、次はどうなったのか。発作の最後はどうなるんですか、どれくらいしてから回復しますかといった感じです」(同)

発作の様子を伝えた後は、検査を受ける。
まずは脳波検査。

「てんかん患者さんの脳波には、発作が起きていないときでも、特徴的なてんかん性の脳波が出ています。この波を見つけることができれば、てんかんであるという疑いを持つことができます。 ただ、それがまた間違いのもとで…。てんかんでなくても、てんかんの波がたまに出ることがありますし、てんかんの人でもてんかんの波が出ない人もいます。脳波は100%信頼がおけるものではありません」(同)

さらにCT検査やMRI検査などによって、脳腫瘍や脳外傷などの障害や傷の有無を確認。血液・尿検査も受ける。これも原因究明には欠かせない。加えて、てんかんの薬物療法は長期間に渡って薬を服用し続けなくてはいけないため、事前に体の状態を調べることは必要不可欠なのである。ただ、それだけの過程を経ても、正しく診断するのは簡単ではないようだ。

「てんかんらしい発作があって、脳波にも異常があるということで、紹介されてくる患者さんの10人に1人はてんかんじゃない、偽てんかんです。
失神発作、立ちくらみ、それからパニック。あるいは脳の一時的な虚血によって、手足が麻痺したり、気を失ったりする症状を、てんかんと間違うケースが多いです。専門医※でないと、判断はむずかしいですね」(同)

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