荒野のエッセイスト(音楽編)

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第2回
ノルウェーの森~ザ・ビートルズ・クラシックス
1966 カルテット
心地よい後味が残るが……。

9曲目の「ミッシェル」はなぜかたまらなく懐かしい。
この曲がヒットしたのが1964年。
僕は15才で思春期のまっ只中。
隣の机の女の子が気になって仕方のない。
黒板を見つめるまっすぐな眼差し。つややかな長い黒髪。スカートからのぞくスラリと伸びた足……。
憧れで胸がいっぱいなのに、不器用な中学生にとって、無視することだけが精一杯の自己アピールだった。
そんな甘酸っぱい時代をぼんやりと思い出す。

考えてみればそれは不思議な現象だ。
本家の「ミッシェル」を聞いてもそんな気分にはならないのに、1966カルテットの演奏はノスタルジーを運んでくる。
つまり、僕にとって「ミッシェル」という曲は過去のものだが、ビートルズはどこまでも今を表現するアーティストなのだ。
そこにビートルズの凄さがある。

元々クラシックっぽい「エリナー・リグビー」はオリジナルのままの印象。これではカヴァーとしての意義がないなと思っていると、後半からかなり凝ったアレンジが加えられている。それなりに考えて作っている。

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