今さら聞けないワインの話

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第7回
ボジョレー・ヌーボーの秘密

ボジョレー・ヌーボー。
ほとんどの方が耳にしたことがあると思います。
今では、日本の秋の風物詩の一つともなり、お祭り騒ぎをするほどですね。11月第3木曜日の解禁日を待ちわびている方も、多いのではないでしょうか。

ところで、「ボジョレー」とはなんのことかご存知ですか。ボジョレーは、ワインを作っている村の名前です。フランスの南東部、都市リヨンから車で北に一時間ほどのところに位置し、ガメイというブドウ品種だけで作るワインが有名なところです。
「ヌーボー」とは、「最初の」という意味で、ワインの場合は「新酒」を意味します。よって、ボジョレー地方で作られたその年の新酒がボジョレー・ヌーボーというわけです。
ワインは基本的に何カ月も熟成させて作りますが、ボジョレー・ヌーボーに使われるガメイ種は、時間をかけずに2カ月ほどで作れる早飲みタイプで、飲み頃は年末から年明けくらいまで。「味わって飲む」より、「スイスイ飲める」ワインです。

そんなボジョレー・ヌーボーですが、実は解禁日を盛大に祝う国は日本だけ。
ではなぜ、日本ではこれほどまでにボジョレー・ヌーボーを注目するようになったのでしょう。その理由は、

●時差の関係で、世界で最初に解禁になるのが日本だから。
●赤ワインブームが訪れた1997年代、さらに赤ワインを広めるため、
メディアがこぞって取り上げたから。
●「その時だけしか味わえない」という「限定感」に日本人が弱いから。

などです。

そもそもは、バレンタインデーにチョコレートをプレゼントしましょうとお菓子メーカーがうたったように、ボジョレー・ヌーボーもワインの流通業界が仕掛けたことが始まりのようです。ホテルなどで、解禁日にタレントさんを招くなどして大々的に祝うのは、バブル時代の流れがそのまま残っているともいえます。
ちなみに数年前、パリで解禁日当日を迎えましたが、フランス人のボジョレー・ヌーボーに対する反応の鈍さには驚かされました。店頭には並べてあるものの、現地の方々は見向きもしないほど。
また、帰りの機内では、フランス人のお客様にボジョレー・ヌーボー解禁の話をしたところ「そんなの知らない」と言われ、あぜんとしました。

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