今さら聞けないワインの話

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第7回
ボジョレー・ヌーボーの秘密

パリにおけるボジョレー・ヌーボーのお値段は、だいたい1本(750ml)1ユーロ強(約200円)〜5ユーロ強(約800円)なのに、日本ではだいたい2000円〜3000円と、ちょっと高め。それはなぜなのか?といいますと、すべて解禁日に合わせて空輸されるためです。(お手ごろワインは、通常、船便で輸入されます)
私が勤務する航空会社も、解禁日に合わせ、多い時はカーゴ(貨物便)9機をチャーターし、ボジョレー・ヌーボーの輸入をお手伝いしたそうです。ちなみに、ボジョレー・ヌーボーの輸入量は日本が断トツ1位で、その量は約70万ケース(8400万本)にもなるのだとか。こんなにも日本で飲まれるワインは、他にないでしょうね。

さて、みなさんの中には、「ワインは普段飲まないけれど、ボジョレー・ヌーボーだけは話題作りに飲んでいる」という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、「ボジョレー・ヌーボーの味」=「赤ワインの味」ではないのです。ボジョレー・ヌーボーは、目をつぶって飲むと、白ワインと間違えるといわれるほどサラリとしています。赤ワインではありますが、一般的な赤ワインとは少し違うキャラクターを持っているのです。

というのは、通常の赤ワインは、ブドウを果皮や種子ごとつぶして発酵・アルコール生成させるため、果皮や種子に含まれるタンニンによって渋みがあります。
一方、ボジョレー・ヌーボーは、「マセラシオン カルボニック法」といって、ブドウをつぶさずタンクに入れ、密閉してしまいます。自らの重みで潰れたブドウは、自然に醗酵・アルコール生成され、それを搾った果汁だけでアルコール醗酵させるため、渋みのないワインに仕上がるのです。

このマセラシオン カルボニック法を用いて、ボジョレーの日用ワインをボジョレー・ヌーボーへと作り変えたのが、ボジョレーの帝王と呼ばれるジョルジュ・デュブッフ氏です。デパートなどでも、彼のエチケット(ワインラベル)が貼られたボジョレー・ヌーボーが多く見られますので、ぜひチェックしてみてください。

では、なぜボジョレー・ヌーボーの解禁日は、11月の第3木曜日なのでしょうか?
設定された当初は、11月15日でした。しかし、年によって運送会社の休業日である土日にあたることがあり、解禁日に納品できないという事態が発生したため、1984年、11月15日が第3木曜日だったことによって、翌1985年より第3木曜日が解禁日になったのです。
なお、「解禁日」というものはもともとなかったのですが、各メーカーが一刻も早く市場に出そうと出荷を競い合った揚げ句、未熟なワインまで出回るようになってしまったため、品質保持のために設けられました。

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