今さら聞けないワインの話

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第11回
カーブドッチってなぁに?

雪を詰めたアイスバケツでスパークリングワインをキンキンに冷やし、雪が降る中、露天風呂に浸りながらゆったりと飲む…。先日もあるワイナリーでそんなことをしてきました。
新潟県巻町にある「Cave d' Occi Winery(カーブドッチワイナリー)、日本語にすると「落(おち)さんのワイン蔵」です。友人の勧めでこちらに足を運ぶことになったのですが、こんなにも日本のワインへの思いが変わるとは思いませんでした。
今回はそんな「カーブドッチワイナリー」についてのお話です。
最初は、新潟にワイナリーがあることにまず驚きました。日本のワイナリーといえば、山梨や長野、北海道などが有名ですからね。しかしその謎を解くカギは後半で。

上越新幹線で新潟へ。そこからJR越後線に揺られて約20分。内野駅で下車すると、バラが描かれたワゴン車が迎えに来てくださっており、さらにその車で15分。車を降りると、そこには日本とは思えない風景が広がっていたのです!
目の前には広大なブドウ畑、洋風なワイン蔵、美しい生け垣、すべてが別世界といっても過言ではないほど。最初に入った建物は、天井が高く、ぬくもりを感じるヴィネスパという宿泊棟でした。こちらはすべて床暖房が完備されているので、寒さで凍えた足は一気にポカポカ。
ちなみに、平日の昼間にもかかわらず、次々とお客さんが来るのにも驚きました。しかもみなさん軽装です。話を伺うと、こちらには日帰り温泉もあり、地元の方々が日常的に利用しているとのこと。ん~、こんなすてきな温泉が近くにあったら、私も毎日通ってしまうかも(笑)。

さてチェックイン後、まずは露天風呂へ。雪景色を眺めながら、スパークリングワインとオードブルまで堪能し、立ち上る湯気の中でゆっくり極楽気分。ほんのりほおが染まったところで、お夕食までの間にワイナリーツアーへ参加することにしました。
すると、いきなりオーナーの落希一郎氏ご本人が登場!第一印象からしてお優しそうな方でしたが、私たちの靴を見るなり「足下が悪いから」と長靴まで貸してくださいました。それはサービスというよりも、落さん自身の思いやりといった方がふさわしく、しかしそれは感動の嵐の序章にしか過ぎなかったのです。

まず訪れたのは、ヴィネスパの向かいにあるワイン蔵。すべての行程を行うための、醸造所、樽(たる)蔵、瓶蔵を順番に見せていただいきました。その一つ一つを落さんが丁寧に説明してくださったのですが、その落さんのまるでわが子を見つめるような愛情あふれるまなざしがとても印象的でした。
また、樽蔵に入ったときのオーク樽の香りにワクワクさせられました。オーク樽はすべてフランス・ブルゴーニュから取り寄せているそうで、そこにもワイン作りへの愛情が感じられました。蛇足ですが、ブルゴーニュのワイン樽一つから約300本分ものワインが作れるのですよ!

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