旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第10回
初秋の疲れはネバネバ野菜「ツルムラサキ」のお浸しで箸休め

最近は一年中、ホウレンソウを食べることができますが、春から初秋にかけてのホウレンソウは冬のものより栄養価が低いのが難点。そこで初秋まではスーパーで手に入りやすい「ツルムラサキ」というネバネバ野菜がオススメです。見た目も栄養価もホウレンソウと似ており、別名「インドのホウレンソウ」とも呼ばれているお野菜です。


■「ツルムラサキ」の歴史

「ツルムラサキ」はまだ聞き慣れない方が多いかもしれませんが、初夏から初秋にかけて、一般のスーパーでも気軽に買える、今がちょうど旬の緑黄色野菜。葉の形がホウレンソウと似ていますが、ツルムラサキ科ツルムラサキ属の野菜です。ちなみにホウレンソウはヒユ科ホウレンソウ属の野菜で本来の旬は冬です。ツルムラサキの原産国は東南アジアで、中華料理やベトナム料理、インド料理では古くから野菜として食べられていました。
日本では江戸時代にはもう栽培が始まっていましたが、当初は観葉植物で、紫色の塗料として使用されていました。当初は沖縄がツルムラサキの名産地として知られていましたが、作りやすいことから、近年では全国的に栽培されるようになりました。

■「ツルムラサキ」の特徴

ツルムラサキは漢字では「蔓紫」と書きます。字のように、成長が進むと蔓が紫色になり、紫の小さな花をつけ、紫色の果実もつけることから、そのまま野菜の名前となりました。しかし花や果実は食用に向かず、若い葉を収穫して野菜として食べられています。切るとネバネバとしたムチンという成分が出てきて、加熱すると一層ネバネバとした食感が楽しめます。オクラやモロヘイヤと共に、夏から初秋にかけてのネバネバ野菜として、近年注目の野菜となっています。

■「ツルムラサキ」の栄養など

ツルムラサキは、β-カロテンの含有量が高いので、緑黄色野菜に分類されています。また貧血や冷え性を予防する鉄分や葉酸、骨や歯茎を丈夫にする働きのあるビタミンKやマンガン、風邪や日焼け後の肌ケアにもなるビタミンCも含まれ、栄養価はかなり高い野菜です。ネバネバ成分のムチンは、疲れた胃腸や肌の粘膜の修復にも役立つでしょう。



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