旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第13回
秋が旬の「柿」と蒸し鶏のごましそ和え

秋の代表食材と言えば “柿”と真っ先に思いつく方も多い果物。古来からの諺や和歌も多く、干し柿や和菓子など、保存食も生まれています。「柿が赤くなれば医者は青くなる」という諺があるほど、健康食としても栄養価が豊富です。


■「柿」の歴史

原産国は日本。日本の原生林の中に柿の木があり、弥生時代には既に食用として食べられていました。正式学術名が「KAKI」となっており、世界でも“日本原産の果物”と考えられているようです。(英名は「Persimmon」)都心の庭先や鉄道の線路脇でも実がなるほど生命力があり、各都道府県の農家で栽培されています。収穫量の順番では和歌山県が約6万トンで断トツの1位。ついで奈良県が約3万トン、3位は福岡県の約2.5万トン、4位は岐阜県で約2万トンとなっています。地域によって様々な品種があり、日本だけでも1000種類以上あるようです。一般のスーパーなどに出回る品種は市場の60%を占める「富有柿」という品種。他に「次郎柿」、四角い形の「おけさ柿」、筆の形をした「筆柿」などがあります。

■「柿」の特徴

柿の表面に白い粉のようなものがついていますが農薬ではなく、ブルームという水分蒸発防止のワックスです。柿の実が、自ら生み出す現象でブルームがあるほど新鮮な柿となります。しかしその状態はまだ食べごろではなく、実は硬く、さほど甘くありません。柿は買ってきたら、常温で数日置いて、全体に色が濃くなり、表面の皮が少しゆるみ、付け根の葉の部分も枯れた状態になっていると食べ頃です。そこまで待つとハズレの柿はないと言えるほど、甘い柿が堪能できるでしょう。

■「柿」の栄養など

柿の濃い橙色はニンジンやカボチャと同じくβ-カロテンが多く含まれている証拠です。β-カロテンの含有量は緑黄色野菜並みに高いので、デザートとしてではなく、お惣菜で頂くのもいいでしょう。またビタミンCやEも含まれており、皮膚や体内の各器官の粘膜を健康に保つ効果も期待できます。鼻や喉の粘膜が弱くなると、秋の花粉症、季節の変わり目の風邪などのダメージを受けやすくなりますので、季節の健康悩みの解決にも役立つ果物です。
また年末になるとお正月に向けて、干し柿が出回ります。干し柿にすると生の柿よりもβ-カロテン量は3倍に増えると言われています。干し柿は、ほぼ乾燥させた状態ですが、その途中過程の“あんぽ柿”も柿を代表する和菓子です。昔から保存食として砂糖は使わず、天日干しで製品化されています。



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