旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第23回
「新たまねぎ」で作る “酢たまねぎ”のおかか和え

たまねぎは年中、出回っていますが、春先~初夏にかけて並ぶ水分の多いたまねぎは「新たまねぎ」という品種です。この品種だけは旬が過ぎると姿を消してしまうので、今の時期に味わっておきましょう。シンプルな調理法やサラダにして、また話題の“酢たまねぎ”として、素材の味を楽しみましょう。

■「新たまねぎ」の歴史

たまねぎの原産地は中央アジアという説が有力です。古代エジプトではピラミッドを建設する際、労働者たちの貴重なスタミナ源として食べられていた、という逸話が残っています。日本では、明治時代にアメリカから導入され、北海道で栽培が始まりました。当初は春に種を蒔いて栽培していましたが、秋に種を蒔いても育つことから、大量生産されるようになり、昭和に入ると全国的に栽培農家が増えていきました。新たまねぎは、兵庫県、佐賀県、北海道で多く栽培されています。通常のたまねぎは、貯蔵性を高めるために、外皮を茶色く乾燥させてから出荷しますが、新たまねぎは、収穫すると、乾燥させず、すぐに出荷し、瑞々しい状態で市場に送り出します。 ]

■「新たまねぎ」の特徴

皮が薄く、通常のものより偏平な形をしています。水分が多く、柔らかいため、辛味が少なく、生食に向いています。薄くスライスしてサラダに入れたり、マリネにするとおいしくいただけるでしょう。加熱調理の際は、溶けやすいので短時間で炒めたり、蒸したりするのがオススメです。一方で、溶けやすい特徴を活かして、ソースやカレーの下味にも使用されています。元々、辛味が少ない分、煮込み料理に天然の甘味をプラスしたり、コクを出すのに最適です。

■「新たまねぎ」の栄養など

新たまねぎは水分量が多い、という点を除けば、通常のたまねぎと栄養価はほぼ同じです。ただし、辛み成分の「アリシン」や「硫化アリル」の含有量はやや少なめです。これらは優れた殺菌作用があり、整腸作用やデトックス作用などが期待できますが、加熱すると効力が弱まるため、生の状態か、短時間の加熱調理で、効率よく摂取しましょう。ビタミンB1も効率よく摂れ、新陳代謝が活発になる効果も期待できます。近年「酢たまねぎ」が話題になっていますが、酢と一緒に摂取すると血流が良くなり、胃もたれの改善や、食後の消化作用が高まるでしょう。



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